今回は、幼児教育の目的や、どんな種類(メソッド)があるのか、早期教育との違いを紹介します。
そんな疑問をスッキリさせましょう!
幼児教育とは一体なにか?
「幼児教育が大切だよね」という話はいろんな方面から聞こえてきますが、「幼児教育ってどんなもの?」と改めて考えてみるとはっきり答えられる人は少ないと思います。
それもそのはず、実は「幼児教育」の定義は意外とあいまいなんです。
例えば、
- 「小学校就学前の子どもへの教育」
- 「3歳以上の子どもを幼児教育施設で教育すること」
- 「乳幼児教育として1歳以上の子どもへの教育を含む場合もある」
というように、立場や組織によって定義がバラバラだったりします。
一般的な定義としては「小学校に入学する前の子どもに対して行う、生活すべてにおける教育」というのが幼児教育です。
"生活すべて"というのは、0歳〜6歳の子どもたちは日常の生活習慣(食事・排泄・睡眠・着替え・運動)も日々学んでいますよね。
日常の生活習慣、遊びや学習の全てをひとまとめにして「幼児教育」と呼べるわけです。
ということは、幼稚園の先生や習い事の先生だけでなく、日頃子どもと関わる親御さんや祖父母も、「家庭」という場所で「幼児教育」を行っていることになりますね。
幼児教育の目的は?
では幼児教育の目的とは一体なんでしょうか?
その答えは明確です。
幼児教育の目的は、ずばり、「自立の土台作り」です。
子どもはいつか大人になり、社会へ出ていきます。その時に必要な力は大きく分けて2つです。
大人に必要な力
- 周りの人と上手くやっていく力(精神的自立)
- 食べ物を調達して生活する力(経済的自立)
子どもたちは大人になるまでの間に、この2つの力を養うために学校や塾に通って様々なことを経験し学んでいきます。
参考
2.の「食べ物を調達して生活する力」というのは、狩猟時代においては獲物を狩る力でしたが、現代においては「お金を稼ぐ・貯める」という力に変わっています。
そして、小学校入学前である乳幼児期というのは、小学校以降で学ぶ知識やスキルをスムーズに習得するための土台である
- 知らないことを知りたいと思う好奇心
- 失敗しても工夫してやり抜く力
- 問題を解決しようとする根気、忍耐力
- 自分で食事をするスキル
- 自分で着替えるスキル
などを養うことが望ましいのです。
この「自立のための土台作り」が幼児教育の目的です。
幼児教育って本当に必要なの?
その気持ちも分かります。
「わざわざ"幼児教育"なんて銘打って取り組まなくても、子どもは勝手にスクスク育っていくんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。
しかし、それは半分正解なのですが、半分は間違っています。
「良い環境で幼児教育を受けた場合、受けていない場合と比べて大人になってからも学力検査の成績がよく、将来得られる年収が変わり、持ち家率が高く、逮捕率や生活保護受給率は少ないことが分かっている」と言われたらどうでしょうか?
アメリカの経済学者ジェームズ・J・ヘックマンが出版した『幼児教育の経済学』という本があります。ヘックマン教授はこの研究においてノーベル経済学賞も受賞しており、彼の研究成果は世界に大きな影響を与えました。
この研究の主な結論は2つです。
- 幼少期の環境(幼児教育)を豊かにすることで学力と人格形成に好影響を与える
- その効果は大人になっても長く続く
つまり、幼児教育を上手く実行することで、子どもたちが生涯を通して利益を得続けることができることが分かったのです。
確かに先の質問のように、幼児教育をしなくても子どもは育ち、大人になっていきます。しかし、「どんな大人になるか」が幼児教育の有無によって変わるとすれば、「幼児教育なんて不要だよね」とは言えないのではないでしょうか。
幼児教育と早期教育の違いは?
また、よく混同しやすい言葉として「幼児教育」と「早期教育」があります。
「幼児教育って本当に意味あるの?」「うちの子には幼児教育は必要ない」と考えている親御さんは、この2つの言葉を勘違いしてしまっているかもしれません。
「幼児教育」と「早期教育」は目的が違います。
「幼児教育」は、先ほども紹介したように一生涯に関わる人格形成や学習の基礎を養うことを目的にしています。
一方、「早期教育」は「お受験」や「芸術」「運動」などの特定の分野に必要な専門的なスキルを先取りしていくことを目的としています。
これはどちらかが良くてどちらかが良くないという訳ではなくて、目的が違うだけです。
誰しもに必要な「幼児教育」という土台の上に、さらに専門的な「早期教育」が乗っかっているイメージです。
一般的に「早期教育」というのは早ければ0歳や1歳のうちから始めるので、子どもの意志というよりは親の意向によって決められることが多いと思います。
そういった点から「そこまでしなくても、、、」と感じてしまう親御さんが一定数いるということ、そしてそれこそが「幼児教育」だと思い込んで「うちには必要ない」と判断してしまっている場合が多くあります。
「幼児教育は誰もが等しく受けられることが望ましい」ということは覚えていただきたいです。
有名な幼児教育のメソッド
幼児教育は古くから多くのメソッドが生まれてきました。そして、現代でも人気の高いメソッドがいくつもあります。
主なメソッドは以下の通りです。
海外生まれのメソッド
- モンテッソーリ教育
- レッジョ・エミリア・アプローチ
- シュタイナー教育
- フレーベル教育
- ピラミッドメソッド幼児教育法
- ニキーチン教育
- ドルトンプラン
- イエナプラン
日本生まれのメソッド
- 七田式教育法
- ヨコミネ式教育法
- 石井式漢字教育法
などがあります。
もちろん、ここで紹介した以外にも世界各地にはたくさんの幼児教育メソッドが存在しています。
しかし、それぞれのメソッドの誕生から何十年も経っているにも関わらず、日本国内においては(政府が採用するなどして)一本化されていないということは、いつの時代の誰にでも適応できる幼児教育メソッドというのはまだ発明されていないのかもしれません。
そこで、幼児教育選びにおいて大切にすべきポイントを抑えておく必要があると思います。
幼児教育選びで大切にすべきポイント
大前提として、子どもに与える幼児教育のメソッドを1つに絞らなければいけないということはありませんが、保育園や幼稚園では1つのメソッドに特化している場合がほとんどです。
その選択肢の中でどんなメソッドを選べば良いのかは、以下の「大切にすべき4つのポイント」を参考にして頂ければと思います。
幼児教育選びで大切にすべきポイント
- 子どもがイキイキと楽しそうにしているか
- 子どもが達成感を味わえるか
- 子どもが主体的にいられるか
- 子どもが人間関係を経験できるか
子どもがイキイキと楽しそうにしているか
これは実際に体験したり通ってしばらくしてからでないと分からないことですが、最重要項目として、「子どもがイキイキしているか」「楽しそうに過ごしているか」があります。
子どもから出てくる言葉としては「早く行こう!」「またやりたい!」といったキラキラワードが出るようであれば楽しんでいると判断してよいと思います。
達成感を味わえるか
人間にとって「できた!」や「分かった!」と思えることは大きな成長に繋がります。
メソッドやカリキュラムの中に何かしらの課題があり、その課題を達成できる喜びを味わえるかどうかも幼児教育選びのポイントになるでしょう。
子どもが主体的にいられるか
これは最近人気の高いメソッドはどれも満たしているポイントだと思いますが、「子どもが主体的にいられるか」というのもポイントです。
昔の考え方のように「子どもには一方的に知識を詰め込むことが大事である」という考えでは、子どもの意志は後回しになってしまいます。
「子どもは自ら育つ力があるので、大人は子どもの意志を邪魔しないように、適切な環境を用意してあげましょう」という考え方は子どもが主体的に遊びや活動を選択できます。
子どもが主体的に過ごせるかどうかも判断基準にしてみてください。
人間関係を経験できるか
家庭以外で行われる幼児教育は、たいていの場合、集団で行われます。
その際の1番のメリットというのは、子どもが他の家庭の子ども・大人と関わることができる点です。
遊びの中でおもちゃの貸し借りからグループでの協同活動まで、他人との付き合い方を学ぶことができます。
メソッドによっては、「子ども1人ひとりのやりたいことを優先することが大切」と提唱されているにも関わらず、集団になることをよって「とても1人ひとりの思いを優先していられない」というジレンマに陥ることもしばしばあります。
【集団で実践した方が良い幼児教育メソッド】と【家庭で実践した方が良いメソッド】があることを知っておくことも重要なポイントです。
幼児教育は子どもに必要なもの
というわけで、ここまでの話から、子どもにとって幼児教育がいかに大切かを感じて頂けたかと思います。
繰り返しますが、
幼児教育の目的は、「自立の土台作り」です。
自立とは、社会へ出たあと、社会の中で生活していくことです。
自立に必要な力は大きく分けて2つありました。
大人に必要な力
- 周りの人と上手くやっていく力(精神的自立)
- 食べ物を調達して生活する力(経済的自立)
以上のことを踏まえた上で、幼児教育選びを進めてみてください。