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保育士のアジア旅2016Day23@ベトナム【ベトナム戦争でこの国に何が起きたのか】

かんかん

この記事は、
保育士のぼく(@kazukirin1989)が26歳の時に、合計60日間(2016年2月〜4月)でアジアの国を中心に10ヶ国1人で旅した記録です。

せっかくなので旅行記っぽく書いていきます。

 

ベトナム到着

前回の記事にも書いたが、16時間という長い長い夜行バス移動を終え、ベトナムのホーチミンに着いた。

アジア1人旅23日目のことである。このベトナムで6ヶ国目になる。

昨日までいたカンボジアのシアヌークビルに続き、ホーチミンも相変わらずの快晴。街を歩いていると照りつける日光が肌に刺さる。

ホーチミンに来てまず驚いたのはスクーターの多さ。インドネシアでもマレーシアでもカンボジアでも、スクーターは市民の重要な交通手段を担っているのがわかったが、ホーチミンはなんだか量が違う。

道を見ててもそのバイクの集団が途切れることなく走りさっていく。

陸続きで隣同士の国でも、国が変われば交通事情も全然違うのだ。

 

戦争証跡博物館へ

今日泊まる宿に着いて荷物を降ろしたとき、時計の針はもうすぐ12時を指そうとしているところだった。夜行バス移動中は(ある理由で)全然寝れなかったから仮眠でも取ろうかと思ったが、そのときには眠気のピークは通り越していてむしろちょっと元気なくらいだった。

そこで、ホーチミン滞在中に絶対訪れようと思っていた「戦争証跡(しょうせき)博物館」に行くことにした。

ベトナムで戦争といえば、「ベトナム戦争」です。博物館に訪れる前、ぼくがベトナム戦争について知っていたのはいくつかの単語、

「ベトコン」
「枯れ葉剤」
「ホーチミン」
「ゲリラ戦」
「ベトちゃんドクちゃん」

くらい。恥ずかしながらこれくらいしか知らなかった。

 

ベトナム戦争がいつ頃行われた戦争なのか。
なにがきっかけだったのか。
どうして枯れ葉剤が撒かれたのか。
どういう形で終戦を迎え、その後どうなったのか。
そういうことを何も知らなかった。(学校で習ったのかもしれないが覚えてなかった。)

でも「知らないから行かない」「よく分からないから行かない」というのは理由にはならない。むしろ「分からないから行く」のだ。とにかくまずは行ってみることにした。

行ってみたら何か感じるものがあるだろうと思って。

 

あと、行こうと思った理由の一つとして、日本が経験した太平洋戦争がある。

その背景について、たとえば、
日本はなんで真珠湾(パールハーバー)を攻撃したのか、
戦時中にどんな戦い方をしていたのか、
どうして原爆が落とされたのか、

といった歴史を今までよりも深く知る機会が最近あったため、

同じ「戦争」というものが他の国で、第二次世界対戦よりもあとに本格化したのか、その背景は??などなど、ベトナム戦争について知ってみたいと思った、ということもある。

 

これが建物の外観です。

入場料は15,000ドン(日本円で約76円)。

 

めちゃくちゃ安い。海外の博物館や観光地は、外国人旅行者向けのちょっと高めの料金設定がされているところが多いのだが、この戦争証跡博物館は違った。

ベトナムという国がよりたくさんの人に「ベトナム戦争」の歴史や影響を伝えたいという思いが込められているのだろう。

 

当時の戦車や戦闘機

まず入場ゲートをくぐると目に入ってくるのが、ベトナム戦争当時、戦場で使用されていた戦車や戦闘機、ヘリコプターなどの展示だ。

奥には大砲や陸への上陸に使われる船艇も展示してありました。

ぼくは日本で自衛隊の航空ショーに何度か行ったことがあって、戦闘機は間近で見たことがあったのだが戦車の実物を見るのは初めて。

キャタピラといい装甲といい、こんなゴツい鉄の塊が大砲や銃口を向けながら街中を走っていたら絶対怖い。

敷地内には当時の捕虜収容所も再現されていて、ギロチンの実物が展示してあったり、ベトナム人捕虜が入れられていた有刺鉄線でできたゲージが置いてありました。

 

 

改めて言う、「戦争はよくない」

建物のなかに入ると、3階まで建物の中がいくつかのブースに分かれていて、それぞれのテーマに合わせた内容の資料が写真が展示されていた。

戦争というものは人が傷つき、そして死ぬもの。そしてお互いが自分たちの「正義」や「利益」を争って戦うもの。

しかしそれは決して褒められたものじゃない。たくさんの人が死ぬし、恐怖や不安で包まれるから。

「戦争はよくない!!」

ありふれた言葉だけどやっぱりそう思う

ただ、実際に戦っていた人たちの前でそれを言えるかって言われたらそれは分からないです。

だってその人たち、特に戦争を仕掛けられた側の国の人たちは「自分の国がなくなるかもしれない」っていう気持ちを抱えながら戦ってるわけだから。それって自分の存在を否定されてるのと一緒じゃないか。

ぼくだってそんな状況になったらきっと、否が応でも戦うことになるんじゃないかと思う。

 

 

博物館内

館内では1階から順番にブースを見てまった。

(※ここから先はベトナム戦争に関する少し過激な写真も含まれます。)

 

アメリカ兵がほぼ全裸のベトナム軍人の頭を蹴りつけている写真。

アメリカ兵が民家に火を放ち街を全焼させてる写真。

女の人や子どもといったいわゆる非戦闘員がひどい仕打ちを受けている写真もたくさんあった。

すごく生々しい写真が展示されていて、「日本の教科書や博物館には絶対載らない写真」がそこにはたくさんありました。

 

たとえばこの写真は、2人の男の子を写したものです。


説明書きを見ると、
”この2人の男の子は銃で撃たれたあと、大きい子が小さい子を守るように覆いかぶさり、それから2人とも息絶えた”
とある。

これが実際にベトナム戦争であったこと。

 

他にも、グレネードランチャー(小型爆弾)の爆発によってバラバラになった子どもの体の一部をアメリカ兵が片手で持ち上げて運んでいる場面

瀕死のベトナム人を戦車の後ろにくくり付けて引きずって運ぶ場面

衝撃的な写真がたくさんあった。

 

もうね、ダメだ。やってること酷すぎてびっくり。

当時の兵士の心情と戦争を知らないぼくの心情じゃすごい開きはあると思うのだが、それでも全然ダメ。

なにやってんのって。

写真見たり資料読んだりしてて悲しみと怒りが混じった感情がこみ上げてきた。

 

極めつけは枯れ葉剤

最上階にあたる3階のブースには、枯れ葉剤の影響などの記録や資料が展示してあった。

なぜ、アメリカはベトナム戦争で枯れ葉剤を使ったのか知っていますか??

簡単に言うと、

アメリカはベトナム戦争中、ジャングルに潜むベトナムのゲリラ兵士にすごく手を焼いていたそうで、その対応策として、「だったら隠れる場所(ジャングル)をなくしちゃえばいい」と考えて、植物を枯らす「枯れ葉剤」を空から大量に散布したす。

しかも、戦闘地域だけでなく、一般市民や少数民族が住む地域にも。

この枯れ葉剤には多量のダイオキシンが含まれていて、それが人体にものすごく悪影響を与えた。将来のことを考えずに環境を破壊した結果、ベトちゃんドクちゃんのような双生結合児が大量に生まれるようになり、さらに枯れ葉剤の影響と思われる先天的発達異常児が次々と誕生することになる。

この枯れ葉剤の影響はベトナム人に留まらず、ベトナムに派遣されていたアメリカ兵にも少なからず影響があったようで、アメリカでも帰還したアメリカ兵の子どもが発達異常を受けているというケースも出た。

ぼくがさらに悲しかったのは、

”枯れ葉剤を開発した会社とアメリカ政府は、アメリカ兵に対する枯れ葉剤の悪影響を過失を認め慰謝料や補助金を出しているが、ベトナム人に対しては一切それを認めず謝罪や慰謝料の支払いなどを行っていない”と資料に書いてあったことです。

資料は写真を見れば見るほどとっても複雑な気持ちになった。

でもこれは、ほんの40年前までベトナムで実際に起こっていた事実である。

現代に生きるぼくたちは、過去に起きたことは変えられないけど、そこから学ぶことはできる。

この戦争証跡博物館もそんな意味を込めて建てられ、日々ベトナムの若い世代や海外からの観光客に事実を伝えているんだと思う。

 

日本も戦争をしていた

他国の戦争の話も大事ですが、日本だって70年前は同じように戦争をしていたわけで、その時に何が起きていたのかを知って、子どもたちに伝え、同じ出来事を繰り返さないようにしなければいけないと強く感じた。

ぼく自身、ワーホリビザでオーストラリアの生活するようになってから、自分てまだまだ知らないことが多くて今までいかに自分がヘラヘラ生きてきたかって反省することが多々あった。

そんな自分の反省もあり、そして今回ベトナムで戦争に関する博物館を訪れて予想以上に大きな影響を受けたので、これからも自分の知識や経験を増やし、子どもたちのために役に立つ人間になっていきたいと改めて思い直した。

 

さいごに

さて、戦争証跡博物館を見学した日の午後3時を周ったあたりから急激に睡魔に襲われ、脱力感と腹痛がぼくの行動意欲を削いできたので、その日は博物館のあとすぐ宿に戻り、ポカリスウェットを枕元に置いて爆睡してしまった。

前日の寝不足と予想を遥かに超える衝撃的なベトナム戦争時の写真の数々に体が参ってしまったようだ。

でも、戦争証跡博物館に訪れることができて本当によかった。

 

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保育士のアジア旅2016Day24@ベトナム【ホーチミン市を散歩する】

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