こんにちは、現役保育士の柴田和輝です。
数年前まで公務員として日本の保育園で働いていたぼくですが、
「海外の保育を知りたい!!」「海外ってどんな保育してるんだろう??」という思いから、
安定と言われていた公務員を辞めました。
そしてワーキングホリデービザを使ってオーストラリアへ留学し、
現地で英語を勉強してオーストラリアの保育士資格を取った上で、
約5ヶ月間、オーストラリアの保育園(チャイルドケア)で働きました。
その約5ヶ月間で現地の保育園で様々な経験をすることができたので、
その中で学んだこと、気がついたこと、日本の子育て•保育との違いなどを記事にまとめています。
この記事はこんな方におすすめ
- 保育園・幼稚園の先生
- 子育て中のママ・パパ
- 海外での仕事に興味がある方
※注※
記事中では、ぼくがオーストラリア(シドニー)で働いていた園の名前をP園と記載しています。
今回のテーマは前回に引き続き「トイレの時間•排泄について」です。
前回の記事では、P園の4・5歳児クラスの保育にはあらかじめ決められた排泄の時間がないことについてを書きました。
前回の記事を読んでいない方はまずこちらからどうぞ!
日本の保育園児のトイレ事情
前回の記事で触れたこととは別に、排泄のことについて日本の保育園との違いを感じたことがあります。
それは、子どもたちがトイレに行く時に保育士が一緒についていかないということです。
これを言うとまず日本の保育園事情について、「え!ちょっとまって!日本の保育園て子どもたちがトイレに行く時に先生もついていくの??」と日本の事情に驚く人もいます。
そうなんです。
日本の保育園や幼稚園では多くの園で、排泄の時間はクラス単位で一斉に行くようになっています。
保育士は子どもの安全と健やかな心身の発達を援助する役割があるので、トイレまで一緒に行き、子ども達がフザけて怪我をしないか、排泄の動作が1人でできるか、トイレットペーパーや手洗いが自分でできるかなどを見守ります。
"排泄"は生活する上で不可欠になるので、小学生になるまでに身につけておきたい基本的な生活習慣です。
子どもたちの排泄を見守ることは、一人ひとりの発達段階を知り、それに見合った援助ができるので、そういった点で、日本の保育はとても有意義だと思います。
ぼくも日本の保育園で保育士として働いていた時はごく当たり前のことだと思っていましたし、必要なことだとも思っていました。
オーストラリアでは違った
しかし!オーストラリアの保育園ではその見守りがありませんでした。
3歳から5歳児までの混合クラスで、前回の記事にも書きましたが、子どもがトイレ行きたいと言えば食事中でも遊び中でも「行ってらっしゃい」と先生は見送ります。
でも、先生はトイレまでついていきません。
P園で働き始めて最初の頃、ぼくは日本の保育園で働いていた時の習慣で、子どもたちがトイレに行った時は見守るようにしていました。
でもしばらくして、ぼく以外の先生がトイレで子どもたちの見守りをしているのを一度も見たことがないことに気がつきました。
それと同時に、"案の定"と言いますか、"やっぱり"と言いますか、保育士が見守っていない子どもたちのトイレでの様子がなかなか悲惨だということもわかってきました。
子どもたちはトイレットペーパーは使い放題
おしっこは便器の外にこぼれてる
手洗い場では水を出しっぱなしで上着ビショビショにしながら「ウキャキャキャキャ」って。
ぼくがそんな子どもたちに気を取られながらふと後ろを振り返ると、トイレから颯爽と出て行く4歳の女の子のズボンの後ろからはシッポのように長めのトイレットペーパーがヒラヒラしている。
別の日には、3歳の男の子が1人でトイレにいたので見に行くと「ん??壁に何かついてる??」と気づくぼく。
便器とは反対側にある手洗い場の壁に明らかに"茶色いもの"がついるではないか!!
「Where does it come from??(これはどこから来たのだろう??)」なんて思いながら、、、ふと振り返ると、さっきまでおしっこしてた3歳の男の子が便器の中に手を突っ込んで水をグルグルグル〜ッ!!!!
回して遊んでたり、、、
「あぁ、こーゆうのをカオスっていうんだな」って思いました。笑
なぜ先生は見に行かないのか?
なぜ排泄の時に保育士はトイレまで見守りに行かないのか。
疑問に思ったぼくは、担任のクリスティーに聞いてみました。
するとその理由の根底には日本とは明らかに違う考え方がありました。
返ってきた答えは2つです。
1つは「みんなバラバラに行くからいちいち見に行ってられない」でした。
職務放棄やん(笑)って感じですよね。
確かに、クラス全体でトイレに行く時間がないから子どもたちは自由に行きます。
日本みたいに「はい、今からトイレの時間だよ〜」であれば、先生も見守りが一度で済みますが、P園のスタイルはその"排泄の時間"が無いからきりがない。
だからって行かなくていいのか?って話なんですが、もう一つの答えを聞いて「あ〜そういう考えなのね」と納得しました。
その答えというのが、
「Mr,Kazuki、いい?食事の習慣もそうだけど、排泄の習慣も家で親が教えることだよ。
私たちは子どもを預かるけど、保育園では子どもたちが怪我のないように安全に過ごすことが第一で、排泄のことまで丁寧に教える責任は家庭にあるのよ。
ほら、◯◯ちゃんみたいに4歳でもちゃんと自分でできている子もいるでしょ?」
でした。
他の場面でも思ったのですが、
P園では、集団生活に慣れるとか、文字や数字を覚えるといった教育的なことにはあまり重きを置いていなかったんですよね。
それよりも、親が仕事や用事で子どもの面倒が見れない間、怪我なく預かって食事をきちんと提供することに重きが置かれていました。
子どもを園に預けている保護者たちももちろんそれを理解していて、それが証拠にぼくがP園で働いていた約5ヶ月の間に
「うちの子、周りの子と比べてどうですか??生活についていっていますか??」みたいな質問は一度も受けたことがありません。
その代わり、「今日は何を食べましたか??どのくらい食べてましたか??」とか「この怪我は何ですか??ちゃんと教えてください」みたいに、食事や怪我についてはすごく厳しかったです。
日本とは、文化や歴史的な背景もあいまって、考え方が大きく違うんだと改めて思いました。
あなたに子どもがいるとして、日本流とオーストラリア流どちらか選べるとしたら、どっちの保育園に預けたいでしょうか??
あなたが保育士や教育者であるなら、どっちの環境で働きたいでしょうか??
排泄だけに絞って言えば、、、
日本とオーストラリア、両方の保育園で働いて見てぼくが今思うことを最後に書いておこうと思います。
排泄という生理現象を考えるのであれば、日本流の「決まった時間にトイレに行く」というのは不自然ですよね。
お腹が空く時間や眠たくなる時間もそうですが、トイレに行きたくなる時間も人それぞれです。
なのに日本の保育園は決まった時間にみんなで行こうとする。この連れション文化、一体なんでしょうね。
考えてみたんですけど、これってきっと、工場とかで働く人を作るシステムの一部ですよね。
昔、日本は製造業で成り上がってきたので、その時代には工場で働く人がたくさん必要だったんですよね。
工場で働くというのは、トイレを始め、休憩や食事、始業時間や終業時間がみんな一緒の方が管理しやすいですから、日本はそういう人たちをたくさん育てていました。
だから義務教育なんてまさにそのシステムの練習ですよね。
毎日同じ時間に登校して、
朝礼して、
決まった時間授業して、
途中みんなで休憩して、
授業で与えられた課題に取り組んで、
みんなでご飯(給食)食べて、
午後からまたみんなで授業受けて、
夕方にホームルームみたいなのして、
みんな同じ時間に下校する。
これ全部、工場や会社で働く人(サラリーマン)を育てるための"練習"です。
これを小1〜高校3年までの12年間やっていたら、工場で働いた時になんの違和感もなく、
毎日同じ時間に通勤して、
朝礼して、
みんなで与えられた業務をこなして、
みんなでトイレ・タバコ休憩して、
また働いて、
みんなで昼休憩を取って、
午後もみんなで頑張って、
毎日同じ時間に退勤して帰宅する。
みたいな生活が送れますもんね。
ぼくはこれを悪いとは思いません。
しかし、話を"排泄"に戻すと、
排泄の時間を"みんなで一緒に"とするのは不自然なことだなって強く思うようになりました。
その点、オーストラリアの保育園では、3歳の子どもでも自分の行きたい時間に好きに行くというプログラムだったので、自然なことだなと思ったわけです。
もちろん、保育園という環境上、「みんなバラバラに行くからいちいち見に行ってられない」というのは言い訳で、子どもの安全や発達を預かる保育士としては良くないと思うので、そこには賛同できません。
というわけで、排泄の話を通してぼくが思うようになったのは、
- 排泄は生理現象で自由なものだから、オーストラリアの保育園みたいに子どもが好きな時間に行けるようにした方が良い。
- でも保育園で子どもを預かる以上、保育士は見守るためにトイレが視界に入る位置にいたほうが良い。
この2つです。
保育園でも排泄事情、国ごとでもそうですし、保育園ごとでもいろいろ違いがありそうですね。
正解があるのかどうかは分かりませんが、今後も考えていきたいことでもあります。
みなさんはどう考えますか??(もしよろしければコメント欄にでも記入ください)
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