こんにちは、保育士の柴田です。
数年前まで公務員として日本の保育園で働いていたぼくですが、
「海外の保育を知りたい!!」「海外ってどんな保育してるんだろう??」という思いから、
安定と言われていた公務員を辞めました。
そしてワーキングホリデービザを使ってオーストラリアへ留学し、
現地で英語を勉強してオーストラリアの保育士資格を取った上で、
約5ヶ月間、オーストラリアの保育園(チャイルドケア)で働きました。
その約5ヶ月間で現地の保育園で様々な経験をすることができたので、
その中で学んだこと、気がついたこと、日本の子育て•保育との違いなどを記事にまとめています。
この記事はこんな方におすすめ
- 保育園・幼稚園の先生
- 子育て中のママ・パパ
- 海外での仕事に興味がある方
※注※
記事中では、ぼくがオーストラリア(シドニー)で働いていた園の名前をP園と記載しています。
今回のテーマは「保育士の残業について」です。
日本の保育園「書類の多さ、作業時間の無さ」
日本の保育士の仕事量を多くしている原因の一つに「書類の多さ」があります。
よく「保育士って子どもと遊んでるだけでしょ?気楽そうでいいよね」みたいに言われることがいます。
確かに、保育園の外から園庭で遊んでいる子どもと保育士の姿だけを見たら遊んでるだけのように見えます。
でも、どんな仕事でもそうですが表面上だけじゃわからないことってありますよね。
フルーツと一緒です。ミカンでもメロンでも、そのまま見たってゴツゴツした皮があるだけで美味しそうだとは思いません。
その皮の内側には甘い果肉があるというのに。
皮の中を見てみないとホントのところはわからない。
今あなたが切る前の丸ごとのフルーツを見て「美味しそう」と思うのは、皮の中がどうなっているのか知っているからです。
保育も同じです。はたから見たら子どもと遊んでいるだけ。でも保育というフルーツの皮の中味は、、、、
「はたから見てる以上に楽しい」
です。こんなに毎日楽しくてやりがいのあることが出来て、さらに給料までもらえちゃっていいのかってくらい。それが保育です。
しかしそんな楽しさの中に紛れ込む大変さがあります。そう、残業です。
保育園には、
年間指導計画
月間指導計画
週間指導計画
と細かく分けられた書類があります。
そこに書かれているのは、1年間担任をする子どもたちをどのように関わっていこうかという「目標」と、その目標をどうやって達成するかの「具体的な内容」が書かれています。
これは日本全国どこの園にもあり、保育園や幼稚園ではこれらの計画に基づいて保育を進めています。
「明るい子ども」になってほしい
「思いやりのある子ども」になってほしい
「正直な子ども」になってほしい
そういう願い(目標)があるのです。
そして、先生たちはその計画案をもとに毎月毎月、毎週毎週、「月案」や「週案」を更新していきます。
これが結構大変な作業でして。
なにせ、保育園には朝から夕方まで子どもたちがいます。
子どもたちが園にいて一緒にいる間は目を離してパソコンに向かうことなんてできません。
だからそういった書類関係の仕事をしようと思うとどうしても「子どもたちが帰ってから」になるのですが、夕方、子どもたちが帰ると先生たちは翌日の保育の準備や運動会や発表会などの大きな行事の準備に追われます。
園でしかできないこともあるし、他の先生たちと協力して進めなければいけないことがあるから、どうしても書類よりもそちらが優先になってしまう。
そんなこんなでハイ定時。
さて、保育園の先生たちは、一体書類はいつやるのでしょう〜?
ということになってしまいます。
また、書類はクラス運営の指導計画だけではなく、子ども1人ひとりの個別記録もあり、それもまぁ大変なんです。
1人分書くのに30分かかる書類があるとして、先生1人で子ども30人を担任していたら、、、
この話を通して、保育園の先生は園庭で遊んでいるだけじゃないんですということが一人でも多くの方に伝われば、と思います。
ただ、その書類の大変さを踏まえてこの仕事を選んでいるわけですから、働く保育士たちは保育が大好きで子どもの笑顔を見るのが大好きな人たちが多いんです。
オーストラリアの保育園「書類少ない、残業ない」
さてP園ではどうだったかというと。
P園では、残業は一切なしでした。
正規職員からパート職員まで、定時になったら職員は一気に帰ります。
仕事に対する考え方が日本と全く違うのです。
でも、オーストラリアの保育園に書類が無いわけではないし、行事が無いわけではありません。
P園の先生たちも書類はきちんとやっていたし行事の準備もやっていました。
オーストラリアにも年間計画や月間計画、子ども一人ひとりの個別記録があります。
同じように書類があるのに、なぜP園では残業がないのでしょうか。
それは先程も言ったように、仕事に対する考え方です。
P園では子どもたちがまだ保育園にいる時間帯、つまり職員の勤務時間に書類を書く時間が用意されていました。
てことは担任の先生が書類を書く間、子どもたちはほったらかし??
いえいえ、違います。
非常勤やパートの先生が替わりに部屋に来て、子どもたちをみるのです。
その間、担任の先生は集中できる部屋で書類作成をすることができます。
「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、日本の保育園ではこの「そんなこと」がなかなかできていない場合が多いわけです。
日本では、保育士の給料が安すぎて(30歳でも手取り20万円いかないから)、保育士が確保できないといった問題もあったりするからですが、
オーストラリアは社会全体として「基本残業はしない」という意識があります。
担任の先生の替わりに保育室に入るパートの先生を雇ってでも、誰かが残業することにならないように配慮してくれているのです。
欧米では仕事の時間よりもプライベートの時間を大切にする文化、なんてよく言われますが、そりゃ日本人だって、仕事とプライベートだったらプライベートの方を大切にしたい人の方が圧倒的に多いと思います。
ということは気持ちは欧米文化も日本も同じなはず。
ただ違いは、欧米やオーストラリアはそれを実践できているけど、日本はできていない、という部分です。
P園で働きながらそう感じ、ぼくが選べる選択肢は3つあるなと思っていました。
- 日本にはそういう雰囲気があるから、と諦める
- 日本のそんな雰囲気がいやだ、と環境改善に取り組む
- オーストラリアの環境が良い、と海外で永住を目指す
いろんな選択肢がある中で、自分が1番後悔しない道を選ぼうと強く思いました。
行事の数も少ない
オーストラリアの保育園で残業がないことの理由がもう一つありまして、それが、日本に比べて圧倒的に行事が少ないことです。
もうね、全然無いんです。園の行事。
日本だったら毎月2〜3個あります。
気候の良い秋なんて、月に5個以上行事があることも少なくないです。それに加えて折り紙製作、お絵かき、文字、毎日の主活動です。
もうやること目白押し。
オーストラリアのP園は全然違いました。
僕が働いていた7月から1月の間でやった行事といえば、ハロウィンとクリスマスと卒園式(1月)だけ。
それ以外の通常保育でも朝から夕方までほぼずーっと自由遊びでした。
日本だったら信じられない保育を展開していました。
しかも、ハロウィンは子どもたちが家から好きなコスプレをしてくるだけ。クリスマスは歌を3曲歌っただけ。卒園式も歌を3曲歌っただけ。
それが悪いということではありませんが、日本に比べたらめちゃくちゃシンプルです。
日本の保育園•幼稚園は行事も多く、手間も時間もかける分、それはそれは素晴らしい発表会や運動会になります。
日本の保育園行事は昔からの伝統的なものが多く、それぞれにちゃんと意味があり、そういう所からも世界で1番歴史の長い国日本を感じることができます。
だから、オーストラリアと日本のやり方、どちらが良くてどちらが悪いということはないはずで、たんに好き嫌いの問題なのかなぁと思います。そして、大切なのはバランスだなって思います。
保育士の立場か、保護者の立場か、子どもの立場かによっても変わると思うので。
あなたが保護者だったら、どっちの保育がお好みですか??
あなたが保育士だったら、どっちの保育がお好みですか??
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