そう願う親御さんは多いと思います。
今回は、
- 子どもが自信を持つために何が必要なのか
- 親がしてあげられること
- 自信を育む時の注意点
を紹介します。
今回のキーワードは「有能感」です。
この言葉は本当に大切なので、今回はこれだけ覚えてくださいね!
さらに今回は「有能感」の大敵である「仮想有能感」についてもまとめていますので、0〜6歳の小さなお子さんを育てている方には必見の内容となっています。ぜひ最後まで読んでください。
この記事の執筆・監修者
かんかん
(インスタ@kankan_kosodate)
幼児教育者で一児の父です。仕事経験を活かした幼児教育と英語教育の情報を発信しています。
<経歴>
・保育士&ベビーシッター 10年
・子ども英語教育業界 2年
・オーストラリアで保育士
・海外留学
・夫婦で世界一周
「有能感」とは?
有能感とは、「自分には能力がある」と信じている感情のことです。簡単にいうと「自分には◯◯ができる」と思う気持ちのことになります。
「有能」と聞くと、「普通よりできる」や「賢い」という、平均以上のことができる能力だと思う方もいるかもしれませんが、子育てで必要な「有能感」とは、「自分には◯◯ができると思っているかいないか」という一点に尽きます。
「あの子よりできるから有能」というような人と比較することではなく、自分が「これはできる」と思えるかどうかです。
たとえば、
縄跳びが10回跳べた子どもが「私は10回跳べた!」と思えば、それは有能感が育まれたことになります。
パズルを一人で完成させた子どもが「ぼくは一人で完成させたぞ」と思えば、それも有能感が育まれたことになります。
なぜ有能感が大切なのか?
有能感が大切な理由はたった1つです。
有能感を育むことよって、子どもたちは新しいことに挑戦する気持ちを持つことができます。
人は何か行動する時、「自分が希望する結果を生み出すことができる」と思えることが行動開始のきっかけになります。
大人がダイエットをしたいと思っても、「本当に痩せられるかどうか分からない」という状態ではなかなか行動に移せないのと同じです。
先ほどの例で言えば、
縄跳びが10回跳べた子は「次は20回に挑戦しよう!」と思うでしょうし、
パズルが一人でできた子は「もっと難しいものに挑戦してみよう!」と思うでしょう。
そうやって「自分ができること」をひとつひとつ増やしていくなかで有能感は育まれます。
そして、ここが重要なのですが、「有能感」をたくさん獲得した子どもたちは、さまざまなことに挑戦できるようになります。
お箸が使えるようになった子がハサミを使うことに挑戦したり、お絵かきをしていた子どもが鉄棒に挑戦してみたりします。
有能感が育まれると、「あれができたのだから、これもできるかもしれない!やってみよう!」という気持ちが大きくなるのです。
有能感がうまく育たないとどうなる?
しかし、有能感がうまく育まれないと、成長するにつれて挑戦することを避けるようになる可能性が高くなります。
例えば、縄跳びを10回跳ぶことを目標にしている子がいつまで経っても10回跳べなかったかったら「わたしは縄跳びができないんだ」と思ってしまいますし、いつまで経ってもパズルを完成させられなかったら「ぼくはパズルができない」と感じてしまいます。
他のことにも挑戦してみるものの
- 「お箸がうまく持てない」
- 「ハサミで紙を切れない」
- 「ボールを遠くまで投げられない」
- 「一人でトイレに行けない」、、、
「できない」と感じることが続いたら、子どもはどんな思いを持つでしょう?
そうです。次第に挑戦することを「怖がったり、嫌がったりする」ようになってしまいます。
そして挑戦することから逃げるようになると、やってみればすぐできるような簡単なことすら怖がって挑戦できなくなってしまいます。
「ぼくにはどうせできないから。」
「わたしは(やってもできないと思うから)やらない。」
この言葉が子どもの口から出てきたら危険信号だと思います。
子どもの「有能感」を育む方法
有能感の大切さが分かった所で、次にどのように有能感を育めばいいのかを紹介します。
まず前提として、子どもは生まれてから取り組むことのすべてが「初めて」であり、「できない状態」からのスタートが当たり前であるということを覚えておいてください。
その上で、有能感とは「自分には◯◯ができる」と思う気持ちのことなので、すごく簡単に言えば「できた!」と思える経験をたくさん持つことが必要です。
そのためには、重要なポイントが3つあります。
有能感を育む3つのポイント
- スモールステップに分割する
- なるべく褒めない
- 勇気づけをする
1.スモールステップに分割する
3歳の子どもにいきなり500ピースのパズルを渡してもピースの端がボロボロになっていくだけですし、4歳の子どもに自転車を与えてもいきなりすぐ乗れるようになるわけではありません。
段階に合わせた課題に取り組まないと子どもはいつまでたってもできないし楽しくもありません。
パズルであれば最初は8ピースくらいのものをやってみたり、大人と一緒に挑戦してみるのもいいかと思います。自転車であればまずは三輪車やストライダーのような足漕ぎ二輪車からが定番です。
つまり、子どもが初めてのことに取り組む時は、挑戦する内容を細かく分割して、それを1つずつ達成していくことが大切になります。
小さな階段(スモールステップ)を1段ずつ登るイメージです。
もし何かに挑戦しても一向にできないのであれば、子どもがその課題をクリアする段階に達してないと考え、「もっと簡単な課題」を用意して「できた」と思える経験を増やしていきましょう。
この時に、「もう◯歳なんだからできるはず」や「繰り返しやれば必ずできる!!」といった精神論でやると上手くいかないことが多いので、年齢に関わらず挑戦する時は課題を小さく分割することを覚えておいてください。
2.なるべく褒めない
なぜ、褒めないのか。
子どもが何かに挑戦してそれができた時、
思わず「すごいねぇ!」「よくできたねぇ!」と言いいたくなりますよね。
ぼくも仕事で子どもと関わっていて口にすることがあります。
この点はぼく自身も悩ましいところだなと思っているんですが、
褒められた子どもは気分が良くなるので、次も新たなことに挑戦しようとします。
ここまではいいんですが、問題はその理由です。
あまり褒められすぎて、
「褒められることが気持ちいいから新しいことに挑戦する」になると、
目的が、「新しいことに挑戦すること」ではなくて「褒められること」になってしまう可能性が高いんじゃないかなと思うんです。
先生に褒められたくていろいろなお手伝いをする、
親に褒めてもらいたくてテスト勉強を頑張る。
もしこれが続いていくと、いつか「できない」ことにぶち当たった時、怖いなって思います。
自慢じゃないですがぼくは今まで生きてきて、「挑戦したけどできなかったこと」が山ほどあります。笑
おそらくこれを読んでるみなさんも「今まで挑戦してできなかったことは一つもないよ」って方はいないと思います。
生きていれば必ず、たくさんの「できない」にぶつかります。
褒められることを目的に何かに挑戦していると、
それができなかったとき、
「できない」→「褒められない」→「おもしろくない」となって、
最終的に「挑戦しない」にまで発展してしまう可能性もあると思いませんか??
だから子どもを「褒める」のには気をつけなければいけないと思うんです。
子どもがなにかを成し遂げた•やり遂げた時に褒めないのなら、じゃあどうするのか。
それが3つ目のポイントです。
3.認める
ぼくは子どもが何かに挑戦してできた時、「認める」という対応を取るようにしています。
「認める」というのは「褒める」とは違います。
具体的には、
縄跳び跳べた子には「おぉ!跳べたね!!」
一人でパズルができた子には「お!!できたね!!」といった感じ。
正直、最初は子どもにこうやって言いながら物足りなく感じてました。「すごいじゃん!」とか「天才じゃん!」って言いたくなります。
でも、
子どもたちの表情を見ていると「認められた」だけでもとても満足気な顔をするし、
そのあと新しいことにも挑戦しています。
だからぼくがするのは「事実を認めること」だけ。
たったそれだけだけど、子どもが有能感を獲得するにはそれで十分なのかなって感じています。
「すごいね!」って言われなくても、笑顔で「できたね!」って伝えてあげたら
子どもたちはとても嬉しそうな顔をしてくれます。
というわけで有能感を育てるときは、
- 年齢や成長にあった課題(挑戦内容)にする
- なるべく褒めない
- 認める
この3つを意識して子どもと関わると良いと思います。
仮想的有能感にご用心!!
さいごに、有能感の大敵である、「仮想有能感」について書いておこうと思います。
有能感に対して仮想有能感という言葉があります。
ここまで書いてきた「有能感」に「仮想」という単語がついている。
この「仮想有能感」、どういう意味だと思いますか?
仮想とは「仮の想い」、つまり「現実ではないこと」
これを有能感と合わせると、
自分には◯◯ができる!!!!、、、と思っている、やったことはないけれど。
となります。
この「と思っている、やったことはないけれど。」が仮想有能感の問題点。
たとえば、
縄跳びをしたことないのに自分は跳べる、と思っている。
パズルをしたことないのに自分はできる、と思っている。
サッカーしたことないのに自分は上手い、と思っている。
これが仮想有能感です。
実際にやったことないのに、なぜそんな思いを持つようになるのか。
その理由の一つと思われるのが、
ここ20〜30年ほどの間にめざましく進歩した「テレビゲーム」です。
テレビゲームは「バーチャルリアリティー」とも言われます。「仮想現実」です。
子どもの脳の発達が未熟な段階だと、
ゲームという「仮想現実」の中で体験したコトを「現実」のこととして脳に刻んでしまう可能性があるのです。
これによって、
実際に釣りをしたことないのに、自分は釣りができる、と思っている。
実際にボーリングをしたことがないのに、自分はボーリングができる、と思っている。
実際に車を運転したことがないのに、自分は運転できる、と思っている。
実際にピストルを撃ったことがないのに、自分は撃てる、と思っている。
という「仮想有能感」を身につけてしまうかもしれません。
そういった仮想有能感を持っている子どもが、
実際にそれをやってみる機会があったとして、
もし思っていた通りにうまくいかなかったとします。
そしたらその子はどう感じるでしょう?
例えば釣りのゲーム。
ゲームは釣れるように作ってあります。釣れなければ面白くなくて売れないからです。
サオの重さ、エサをつける手間、天気も気温も、なんにも気にしなくても釣ることができます。
でも、実際に釣りをしたら力もいるし、天気も気温も気にするし、ゴカイみたいなウネウネした虫を自分で針につけなければなりません。
そんな手間をかけても丸1日何も釣れないなんてことも普通にある。
そんな時、ゲームの釣りしかしたことのない子どもが現実の釣りをどう感じるか。
現実と仮想現実の区別がまだしっかりとできないうちからテレビゲームを子どもにやらせる場合は、
その点にも気をつける必要があると思います。
また、ゲームには武器を使って戦うゲーム、人を殺すゲーム、お金を稼ぐゲームなどもあります。
「子どもが静かにしているから便利だわ」「周りの子たちも持っているからウチの子もそろそろ」と子どもに与えるのは自由ですが、そういったテレビゲームを通して獲得してしまうかもしれない有能感のことも頭にいれておくと良いかなと思います。
さいごに
今回は子どもの「有能感」について書きました。
保育士として子どもに関わる上でも、
親として子育てする上でもとても重要なことだと思います。
子どもたちには、
本物の有能感を身につけて、いろんなことに挑戦していって欲しいと思います。
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最後まで読んでくださってありがとうございました。