この記事は、
保育士のぼく(@kazukirin1989)が26歳の時に、合計60日間(2016年2月〜4月)でアジアの国を中心に10ヶ国1人で旅した記録です。
せっかくなので旅行記っぽく書いていきます。
気軽に行ける世界遺産
朝イチからインドネシアの幼稚園で子どもたちと遊んできたあと、バスに乗ってジョグジャカルタにあるプランバナン遺跡群に行ってきた。
プランバナンはボロブドゥールと同じくジョグジャカルタにある世界遺産で、ジョグジャカルタで観光するなら絶対ココ!!っていうくらいに有名な観光地だ。
昨日訪れたボロブドゥールは仏教遺跡だが、プランバナンはヒンドゥー教の遺跡らしい。日本に、仏教のお寺と神道の神社があるのと一緒だと思った。
プランバナンはとても行きやすい
プランバナン遺跡群はジョグジャカルタの空港からバスで15分〜20分くらいでしかも乗り換えなしで行ける。
ぼくは街の中心に近い泊まっていた宿から行ったのだが、それでも乗り換えなしで40分くらいで着いた。世界遺産や遺跡ってアクセスしにくい場所にあることも多いのだが、ジョグジャカルタのプランバナンやボロブドゥールはとてもアクセスが良い世界遺産だ。
異世界に入り込んだ気分
プランバナンは遠くから見るとこんな遺跡だ。
四角く囲われた塀の中に大小様々な塔がそびえ立っている。
この塔は、ヒンドゥー教の3大神を奉られている。
中央
→「創造と破壊の神シヴァ」のシヴァ堂
左側
→「宇宙をつかさどる神ヴィシュヌ」のヴィシュヌ堂
右側
→「宇宙創造の神ブラフマー」のブラフマー堂
一番大きな塔であるシヴァ堂には、4つの部屋があってそれぞれの部屋に、
- シヴァ(創造と破壊の神)
- アガスティア(シヴァの師ではないかと言われている)
- ガネーシャ(シヴァの息子で像の頭と人間の体を持つ学問と商業の神)
- ドュルガー(シヴァの妻)
の石像が置かれている。
ぼく実はオバケとか全然ダメで、ニガテ分野なのだが、「せっかく来たからには」と思って暗がりの中すべての塔の中まで入って石像を間近で見てきた。
これはシヴァ神。ヒンドュー教の最上級の神だ。世界の終わりが近づいた時に、一度この世の全てを破壊し尽くして一旦ゼロから素晴らしい世界を作り上げようとする破壊神でもあり創造神でもある。現代ビジネスマンも参考にした究極のゼロベース思考だ。
アガスティアはその実力からシヴァ神の師でもあったと言われている伝説の予言者だ。彼の予言は「アガスティアの葉」と呼ばれるものにまとめられていて、なんとあらゆる人間の過去・現在・未来・前世・来世をそれぞれ椰子の葉に書いて訪れる人に、その人の運命を伝えていたらしい。
驚きなのは、現代を生きる我々のアガスティアの葉も存在していて、なんと南インド地域のあるエリアに分散して保管されているそうなのだ。もちろん日本人であるぼくたちのもある(という噂)。
自分の運命が本当にあるとして、それ知ってどうするのか、という疑問もあるが世界一占い好きと言われている日本人が好きそうな話である。(実際ぼくが生まれる以前に日本で「インドに自分のアガスティアの葉を探しに行こう!!」というブームがあって旅行会社からツアーなど組まれていたらしい。)
アガスティアの葉はその人ごとに「探しに来る時期」というのが決まっていて、まだ「その時」でない場合は現地に行ってどれだけ探しても見つからないそうである。怪しすぎる伝説だ(笑)
しかし、日本人の中には実際にアガスティアの葉を探しに行って「自分の葉」見つけることができた人が何人もいて、そこに両親の名前や家族の名前、自分しか知らないような過去に起きた出来事が記してあったなんてこともあるそう。
退屈な日々を脱却するための人生のネタとして、南インドにアガスティアの葉を探しに行くのもありかもしれない。その際はくれぐれも現地のぼったくりビジネスにはご注意を!!
ドュルガーは、シヴァ神の最初の奥さんであるサティーさんの生まれ変わり。絶世の美女だと言われている。
めちゃくちゃ強く、戦いの女神だったそうだ。
これはガネーシャという学業と商売の神様。
ガネーシャは、水野敬也さんの著書「夢をかなえるゾウ」で関西弁のキャラとして登場するので知っている方も多いのではないか。
ガネーシャがなぜ、ゾウの頭をしているのか。それは、親の都合に翻弄された神話がある。
シヴァの奥さん(先ほどのドゥルガー)は忠実な息子が欲しいと思っていて、旦那(シヴァ)がお出かけ中に自分の体から落ちた垢(あか)から美少年を作り出した。それがガネーシャである。
ドゥルガーは早速忠実な息子に、「私がお風呂に入っている間、誰も入らないように見張っててちょうだい」とお願いをする。
そしてしばらくすると旦那であるシヴァが帰って来た。父と子の初対面である。しかし、ガネーシャはドゥルガーが勝手に生み出した息子だから、シヴァは目の前で門番している美少年が誰だかわからない。
そんなシヴァが「俺の家だからそこをどけ」と言っても母に忠実な息子ガネーシャはシヴァを中に入れようとしない。
破壊神シヴァ、激怒。
ブチギレたシヴァはガネーシャの首をはねてしまったのである。
騒ぎに気づいたドゥルガーがお風呂から出てくると、息子ガネーシャの首がはねられているいるではないか。
戦いの女神ドュルガー、激怒。
破壊神といえど、奥さんは怖いらしく、焦った旦那シヴァは妥協案を提案。
「わかった、次にこの道を通りかかったやつの首をつけてやるから、許してくれ」
妻、了承。
さすが神同士の夫婦。なかなかのクレイジーな発想である。次に通りかかるやつがぼくじゃなくて良かった。
それで、悲運にも偶然通りかかったのが1匹のゾウさんだった。
こうして人間カラダにゾウさんの頭をつけた神さまガネーシャが誕生したのだ。
神話である。
人間はすごい
ボロブドゥールを見た時にも同じことを思ったが、この遺跡群、一体どれくらいの時間と労力をかけて作られたのだろうか。
彫刻の細かさといい、高さといい、すごい。
プランバナンで1番驚いたのは、塔の中にある部屋の三角錐の天井だ。
これはピラミッドを上空から撮影した写真ではない。四角錐の屋根を内側から見たところである。
これ、もちろん石のブロックで作ってあるのだが、見上げるとものすごくキレイな斜めになって頂上に向かっていく。しかも、角度もそれなりにある。どうやって支えているんだろう。
お互いの石が支えあっているのだろうか。4辺が全く同じ長さに見える。(実際そうなのかもしれない。)
また違う塔では、天井はキレイな8面になっていて、それぞれの面はほぼ等しい大きさになるように作られていた。ボロブドゥール遺跡といい、当時は相当高い技術があったんだろうなと思う。
彫刻の繊細さ
建物の壁にある彫刻も1つ1つが驚きの細かさである。
よくよく見てみると、
動物、人間、植物、模様が彫られている。
神さまなのか人間なのかはともかく、
動物なのか人間なのかわからないものも多くあった。
ヒンドゥー教にもっと詳しければより面白い視点で観れるんだろう。
こんなのも見つけた。右側の人、立ち方がイマドキの若者と一緒だ(笑)
プランバナン遺跡の彫刻にある人物だけでも何千という数がいるらしい。。しかもそれぞれ違うから、見ていて全然飽きなかった。
ほんと面白い。
『ぽっちゃり様』は突然に
プランバナンは遺跡「群」であり、周辺には先ほどのメインの遺跡以外にもいくつかの遺跡が点在している。
散歩好きのぼくは、歩いて行ける距離の遺跡や寺院にも行ってみた。
そしてその中で1番見所があったのが一番奥にある「SEWU寺院(セウ寺院)」だ。
遺跡群内の歩道を歩いていると並木に見え隠れしながらだんだん近づいてくる。
これがセウ寺院。
はじめは奥の寺院と重なってよくわからなかったのだが、入り口には門番らしき2体の大きな石像がある。
なんだかぽっちゃりしてるから、勝手ながら「ぽっちゃり様」と名付けた。
セウ寺院は東西南北の4方向に入り口があり、すべての入り口にこのぽっちゃり様が鎮座している。守り神なのでしょう。
ぽっちゃり様などとふざけたネーミングをしてみたが、もし動き出したら絶対に勝てない。体当たりで吹っ飛ばされそうだ。
このセウ寺院は、寺院と名前がついているだけあって仏教遺跡である。さきほどのプランバナン遺跡はヒンドゥー教の遺跡。この地では、仏教とヒンドゥー教が混在していたらしい。というより、仏教を開祖であるブッダ(シッダールタ)はもともとヒンドゥー教徒だから似通う部分があって当然かもしれない。
しかし残念なことにこのセウ寺院、中央の建物以外ほとんどが倒壊してしまって本来の姿を見ることができない。本来はこのように大中小の塔が合わせて249塔あり、
真ん中の中心塔
その周りに8つの塔
さらにそれを囲うように240の小さい塔があったそう。
度重なる地震で壊れてしまったようだが、すべての塔が建っている状態のセウ寺院は迫力すごかっただろうな。この塔にはすべて中に入ることができ、瞑想をするためのスペースになっていたそうだ。
世界は広い
さて、昨日今日とボロブドゥール遺跡群とプランバナン遺跡群を見て感じたことがある。
ありふれた言葉だが、
世界の広さに改めて驚いた!!
日本では見ることのできない巨大な建造物を目の当たりにして、世界にはたくさんの文化があって歴史があるんだなって。
すごいわぁ。
感動。
世界には、ぼくがまだ知りもしないない、歴史的な遺跡や文化があると思うとワクワクが止まらない。
もちろん日本にも見どころのある場所や建物がたくさんあるわけで、1回の人生じゃ楽しみきれない。確実に。
日本で毎日毎日テレビをボーッとみたり、休日は昼まで寝てゴロゴロしながらスマホをいじり倒していた頃の自分に言いってやりたい。
「おい!!そんな毎日で、ホントにいいのか!?」
あの頃はまだ気づきもしなかったが、たった1回きりのあっという間の人生。
本当は、ヒマな時間などなかったのである。
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