この記事は、
保育士のぼく(@kazukirin1989)が26歳の時に、合計60日間(2016年2月〜4月)でアジアの国を中心に10ヶ国1人で旅した記録です。
せっかくなので旅行記っぽく書いていきます。
土砂降りの朝
深夜2時にバリのデンパサール国際空港に着き、タクシーで宿に移動してベッドに入れたのが早朝4時頃。
熱帯の気候らしく蒸し暑い中、エアコンがしっかり効いてる部屋だったので気持ち良く寝ることができた。疲れもあったのだろう。
しばらくして、建物の中に響く「鳴り止まないザーザーいう音」で目を覚ましたぼく。
時計を見たら朝8時を回ったところ。4時間くらい寝ていたようだ。
短時間だがぐっすり寝たおかげで頭はスッキリ、体も不調はない。
気になったザーザーというのは、雨の音。
2月のインドネシアは、雨季まっただ中なのだ。
雨季と聞くと日本の「梅雨」を思い浮かべてしまうが、インドネシアの雨季は毎日午後から夕方の間にスコールという強い雨が短時間降るそう。
日本の梅雨みたいに丸一日雨が降り続く日は珍しいそうで、どちらかというと規模の大きな「夕立」や「ゲリラ豪雨」みたいなものだ。
ぼくがバリを訪れた初日は、そんな珍しい日が大当たり。
天気予報は丸一日、雨の予想。
宿のスタッフも「朝からこれだけ降ってるから午後もずっと降るだろうね〜」って。
まぁ、天気は何を言ってもしょうがない。
シャワーを浴びよう
さて、目が覚めてしばらくぼーっと外を眺めていたけど、雨が止む気配はなし。
宿のスタッフにも「雨は降り続けるだろう」と言われてしまった。
今回は1人旅、しかも2ヶ月という長期間かつ、いろんな国を転々とするので刺激は多いが、その分疲れも溜まりやすい。毎日が「観光、観光」では身がもたない。ペース配分が大事だ。
というわけで今日は特に予定を入れず、そのままのんびり過ごすことにした。
そういうことができるのも、パッケージツアーにはない気ままな旅の良さだと思う。
とりあえず、シャワーを浴びよう。
昨日パロネラパークのツアーに参加してからシャワーを浴びることができていなかったから一度サッパリしようと思ったのだ。
、、、そう決めた時にはまだ、これからあの密室で行われることになる「黒いカタマリ」との「全裸の闘い」のことなんて、考えもしなかった、、、。
全裸の男 vs 5cmのゴキブリ
バリで泊まった宿は4人部屋で部屋の中には2段ベッドが2つ、
小さい貴重品入れ用ロッカーが4つ、
部屋の奥にトイレ•シャワー•洗面台がある小部屋があった。
ちなみにこの時、部屋にはぼくの他にもう1人、国籍は分からないが男性がいて、ずっと寝ていた。
普通、シャワールームにはカーテンがあったり、シャワーの水が流れ出ないように囲いがあったりして仕切られているのだがこの宿は何もなし。フラットな床に、洋式のトイレ•シャワー•洗面台が付いてるだけのシンプルな作りだった。
カーテンや仕切りがなくても、バスルーム全体が濡れてビショビショになるだけのことなので、ぼくはべつにいいのだが、「掃除するの大変だろうな」ってスタッフ目線で考えてながら、ぼくはシャワーを浴びるために、Tシャツを部屋で脱ぎ、服装はパンツとズボン、手には石鹸とシャンプーとタオルのみを持ってシャワールームへ。
薄暗いシャワールームに入って服を脱ぎ、まずは傷や湿疹などがないかチェック(アジアは不衛生な所が多いので、体調管理の一環で体のチェックは大切なのです。)
体に特に異常無し。
さぁ、シャワーを浴びようか!!
そう思って蛇口に手を伸ばしながらふと天井を見ると、、
発見ッッ!!!!
超でっかい黒いやつ。
約5cmのインドネシア産ゴキブリだ。
体には異常無かったが、
シャワールームは異常有りである。
シャワールームに入る時は全く気がつかなかったが、結構な存在感で鎮座しておられるではないか。
そんな緊急事態の中でぼくの脳はすぐに判断を下さなければならない。この状況にどう対応するかを。
ちなみに、人間の脳というのは危険な状態、異常事態に直面した際には「3F(スリーエフ)」と呼ばれる反応を起こす。
3Fとは
Fight(ファイト)→闘う
Flight(フライト)→逃げる
Freeze(フリーズ)→すくむ
である。この3つのうちのどれかを選ぶのだ。
女性が痴漢に遭遇した時や会社で上司に怒られている時などもこれに該当する。身近なところで言えば、お腹が空いている時にコンビニでスイーツや揚げ物を目の前にした時にもこの反応が起きる。
さて、全裸の状態でシャワールームでゴキブリと対峙してしまったぼくが選んだFは、
一瞬で悩んだ末、導いた答えはFight(闘う)であった。
この場から逃げて宿のスタッフに全裸で助けを求めにいくのも情けないし、
すくんでしまったらヤツの餌食になってしまう(ヤツはいつ飛んでくるかわからない。)
ぼくがすぐ闘うための武器を見回したが、驚くほど何もない。トイレ掃除のブラシやホウキの1つでもあればいいのだが、何もない。
そんな中であるものと言えば、今脱いだばかりの自分の服と手に持っているボディタオルのみ。
ヤダね!!自分の物は絶対に使いたくない!!
トイレットペーパーでもあればよかったのだが、あいにくインドネシアは汲み置きの水で流すインドネシア式が主流でトイレットペーパーを置いてあるトイレが少ないのだ。
もちろん今ぼくの目の前にあるトイレにも何も置いてない。
普段、ゴキブリと遭遇した時はぼくはすぐ退治できる。
だいたい身近に紙や袋や手袋だったりがあるから。
そしてなにより服という鎧をまとっているから。
ただ今回は状況が違うのだ。
全裸。「はだかんぽっぽ」である。
この勝負、
身長190cmで人一倍広い表面積を持ったカラダのどこかに触れたらゴキブリの勝ち。
想像してみて欲しい、もし全裸の状態で5cmのゴキちゃんがブーンと飛んできて、脇腹あたりにピタッと止まったら。。。
きっと錯乱するか失神するかだ。
いろんな経験をするのは好きだが、その経験はいらない。
そんなわけでヘタにゴキブリを刺激することもできず、、、
しかも全裸で武器もなし。完全な丸腰状態だ。
どれくらい時間が経ったかわからないが、天井でじっとしているゴキブリから目を離さずにいると、彼もぼくに見られていることに気づいたのか、カサカサと移動を開始。
運良く、ぼくがいる側とは反対の方向へ移動し始めたので少し安心したところで、
ふとシャワーノズルが目に入る。
これしかない。
今自分の周りにあり、なるべくゴキブリと距離を置いて闘えるもの、それはシャワーしかない。水を放水して撃退するのだ。
そうと決まればゴキブリから目を離さないように横に動き、シャワーノズルを手に取り準備します。
続くにらみ合いの中、
ゴキブリが天井から側面に移動したタイミングで放水開始ッ!!!!!!
「あっ. 水圧よわ.」
蛇口は全開なのにシャワーの水圧が弱すぎて水が全然届かない。
なんとか水を届かせるために手をいっぱいいっぱい伸ばし、ゴキブリが飛んできた時のためにカラダをギリギリまでゴキブリから離すぼく。
あの時のぼく、野球を始めたばかりの少年の素振りよりも腰が引けていただろう。
だっておしりだけ壁に触れてたし。
上半身は必死に手を伸ばしながら、
下半身は必死に壁際に逃げる。なんとも情けない姿勢だ。(笑)
で、いきなり水に襲われたゴキブリはというと、
動く動く。あっちへこっちへ動く動く。
壁を這い回りトイレの後ろに隠れ、逃げ惑っていました。どんだけ生命力強いんだ彼は。
ただまぁ、冷静に考えてみれば彼には何の罪もないのにね。
いつもいつも申し訳ないことをしています。
だってそうでしょう。存在を確認されただけで否定されて、嫌がられ、逃げられ、叩かれ、毒霧をかけられるんですから。ツライだろうなぁ。
森に住んだらいいのに。
そんな彼にたいして多少の哀れみの気持ちもあるので、今回の闘いの結果はあえてここには書かないことにします。ただぼくは今回の闘いでは殺してはいません。(うまく排水パイプから脱出し、川に流れ出る前に陸へと上がって今も元気にカサカサしてることを祈るばかりです。)
というわけで、激闘のあとは無事にシャワーを浴び、さっぱりすることができました。
また1つ経験値が上がった。これからを服を着た状態でのゴキブリとの対面には恐怖を感じなさそうだ。
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