子育てをしている親御さんが直面する悩みの1つに「子どもの我慢のできなさ」があります。
悩みごと
- 駄々をこね始めると何を言っても聞かない
- 思い通りにいかないとかんしゃくを起こす
- すぐに人をたたく
- 譲り合いができない
など
子育てをしている側としては、「そこはしっかりして欲しい」と思う部分ばかりですよね。
しかし、実はこれらの問題は人間の脳の仕組みが原因になっています。
この記事を読めば「なぜ子どもは我慢ができないのか」「どうすれば子どもの自制心が育つのか」がよく分かりますよ。
なぜ子どもは「我慢ができない」のか
さっそく本題ですが、「子どもが我慢が苦手なこと」や「感情コントロールのできないこと」は脳の仕組みが関係しています。
まずは少し、脳の構造について知ってみてください。
脳は三重構造
ぼくたち人間の脳は、ざっくり言うと三重構造をしています。
ぼくはいつも「イチゴ大福」に例えて話すのですが、
脳には「脳幹」と呼ばれるイチゴの部分、
「原始的な脳」と呼ばれるあんこの部分
「新しい脳」と呼ばれる生地の部分があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
脳の三層の特徴
脳幹
脳幹は心臓を動かしたり体温を調節するなど、普段意識してコントロールしていないけれど生物が生きるために必要な働きを担う場所です。自律神経に関連する部分ですね。
原始的な脳
原始的な脳は"本能"や"動物脳"とも呼ばれる部分です。イチゴ大福のあんこの部分なのでかなりの割合を占めます。この部分は、食欲や性欲、睡眠欲などの「生理的な欲求」や危険回避などの安全欲求を中心に司っている部分です。
感情のアクセルみたいな部分だとイメージすると分かりやすいかもしれません。
新しい脳
この部分は"人間脳"とも呼ばれ、動物や魚にはない部分です。理性を働かせる部位であり、人間を人間たらしめている部分です。人の物を取ってはいけない、尿意があってもトイレまで我慢しなければいけない、仕事中に居眠りをしてはいけないなど、社会生活をする上で必要な「自制心」に関連する部分です。
こちらは感情のブレーキの役割をする部分ですね。
さて、ここまで読んでなんとなく感じたかもしれませんが、今回のテーマである「我慢」や「感情のコントロール」で重要な部分はイチゴ大福のあんこと生地の部分、原始的な脳と新しい脳の関係です。
結論を言ってしまえば、「子どもが我慢を苦手とする理由」はこの「新しい脳」の部分がまだ未発達だからです。
研究によると、人間の脳幹・原始的な脳(本能)は生まれた時点でかなり発達してるそうですが、新しい脳の部分はゆっくりと時間をかけて発達し、完成の一区切りがつくのはなんと20代半なのだそうです。
アクセルとブレーキで考えると、子どものうちはアクセル(本能)がとても強くブレーキ(理性)が弱い状態ということです。
だからこそ子どもたちは「欲しいものは欲しい!」「嫌なものは嫌!」という欲求に素直な姿が現われるわけですね。
そして親は将来的に理性が必要になることを知っているため、そんな子どもの姿をみて「うちの子大丈夫かしら」と思ってしまうのです。
子どもが我慢できない理由、お分かり頂けましたでしょうか?
では次に、
という悩みを解決するために「自制心を育てる方法」を紹介します。
「自制心」を育てるにはどうすればいい?
今回紹介する方法は1つだけです。
それは「子どもが感情的になった時に、親は冷静な態度でいること。」
ミラーニューロンという言葉をご存知でしょうか?
参考
ミラーニューロンとは、まわりの人の行動を見た時に自分の脳内で同じ行動を再現する神経細胞のことです。人間はミラーニューロンがあることによって、相手の気持ちを理解したり共感できます。ドラマや映画を見て登場人物と同じ感情を抱くのもミラーニューロンがあるからこそです。
このミラーニューロンは子どもにももちろんあります。
ということは、シンプルに考えると、子どもは親の感情・行動を無意識のうちに真似てしまうということになります。
脳の構造のところで見たように、子どもはまだ新しい脳(理性)が未発達なのでどうしても、我慢ができなかったり感情コントロールが上手くいかないことが多くあります。それはとても自然なことです。
しかし、その時に親も同じように感情的になってしまうと、子どもはミラーニューロンによってその影響を受け、子どもは「相手が感情的になったら自分も感情的になればいいのか」と学びます。
しかし、それでは困りますよね。学校や職場などの社会生活で円滑な人間関係を築くためにはある程度の自制心や冷静な態度が必要です。
親としては子どもに自制心を持って欲しい、我慢強くなって欲しいわけなので、本来は子どもが取り乱している時こそ、親ができるだけ冷静になって、気持ちを落ち着かせた態度を見せてあげることが必要になります。
そうすることで子どもの気持ちも落ち着くようになり、自制心を育むことに繋がります。
「ダメなものはダメ」も時には必要
また、「欲しいものは欲しい!」「嫌なものは嫌!」という子どもに対して「ダメなものはダメなんだよ」と伝えることも必要です。
なぜなら、人は子どもの頃に一番上手く行った方法で相手をコントロールしようとする傾向があるからです。
子どもの頃に、
「駄々をこねれば最終的に言うことを聞いてもらえる」
「不機嫌そうにすれば最終的に言うことを聞いてもらえる」
「大泣きすれば最終的に言うことを聞いてもらえる」
そういう経験を繰り返して大人になった時、職場・恋愛といった場面で相手に自分の言うことを聞いてもらうために同じ方法を使うことになります。
しかしその方法は子どもの頃、親に通用していただけであって、社会に出たら通用しないことが多かったりするのも事実です。
子どもが3,4歳頃になったら、少しずつでいいので「大人になった時にこの態度はいいのかな?」という視点も持ちつつ駄々をこねる子どもと関わるようにすると、言葉の掛け方も変わるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、「なぜ子どもは感情のコントロールができないのか」そして「子どもの自制心を育てるためにはどうすればいいのか」について紹介しました。
- 子どもが我慢ができないのは脳の仕組み上ある程度仕方ないこと
- 子どもが取り乱した時には親がなるべく冷静な態度を見せてあげること
ぜひこの2点を意識してみてください!
参考書籍
最後まで読んでくださってありがとうございました。