あなたはよく怒りますか?イライラすることは多いですか?それともあなたの周りによく怒っている人やいつもイライラしている人がいますか?
この記事が気になったということは、「怒りの感情」に対して何か思うところがあるのだと思います。
この記事では
- なぜ人は怒るのか
- 怒ってばかりいることのデメリット
について書いてあります。
「怒らないコツ」は知ってしまえば「なんだ、そんな簡単なことだったのか」で済むようなとても簡単なことなのに、知らないままいると人生を台無しにしかねません。
この機会に怒らないでいられるコツを知って、毎日を楽しく機嫌よく過ごせるようになりましょう!
今回の記事の内容は脳内科医の加藤俊徳さんが書いた『脳が知っている 怒らないコツ』という本を参考にさせて頂きました。
なぜ人は怒るのか
あなたは最近どんなことで怒ったり、イライラしましたか?
人が怒る理由には様々あります。
怒りという感情は「対人関係」が理由になっていることがほとんどです。ということは、誰とも関わらずに生きていくことができれば怒ったりイライラしたりすることは大幅に減らすことができるわけです。
しかし、現実問題として、人は1人では生きていけません。人間は集団生活しないと生き延びることができないので、(家族を含め)他者と関わることは絶対に避けられません。
すると、他人と関わる以上、思い通りにならないことや上手くいかないことが日々襲いかかってきます。これが怒りの原因だったりすわけですね。
ただ、怒りをコントロールすることは可能です。意外と簡単なことなのですが多くの人はその方法を知らないばかりに怒りを通して相手を傷つけたり、誰かに傷つけられたりしてしまいます。
「怒り」とは脳が困っている状態
脳内科医の加藤さんによると、
「脳は、ものごとにうまく対処できないと不安になって怒る」
のだそうです。
つまり、怒っている人の脳内は「今のこの状況にどう対応したらいいか分からない!うわぁぁぁぁ!」とパニックになっているらしいのです。
あなたが怒るときというのは、冷静に考えてみると、相手の言っていることが理解できなかったり、相手からの要求が受け入れられなかったりする時が多いのではないでしょうか?
たとえば、次のような怒りや愚痴を口にしたことはありますか?
- 「仕事で上司が無茶ばかり言う」
- 「頑張っているのに会社が評価してくれない」
- 「忙しいのに旦那・姑が小言ばかり言ってくる」
- 「子どもが全然言うことを聞いてくれない」
これらの文句・愚痴の主語は「自分ではない誰か」ですよね?なので一見すると相手が悪いように思います。
しかし、怒りというのは自分の脳がパニックを起こしている状態なので、主語を変えると分かりやすくなります。
主語を「自分」に置き換えるとこうなります。
- 「自分は上司の要求に対処できない」
- 「自分は頑張っているけど会社の期待に応えることができない」
- 「自分は時間がなくて家族の要望に応えることができない」
- 「自分は子どもの考えや行動が理解できない」
どれも「自分はできない」と感じています。できなくて困っているからイライラして怒ってしまうわけです。
ここで重要なことは、根本原因である「上司の無茶な要求」や「旦那や姑の小言」は他者から持ち込まれたものですが、それを受けて「それには対処できない」と不満や不安を抱えているのは自分です。
つまり、「怒り」とは「自分の捉え方の問題」であることを知る必要があります。これが「怒らない自分」を手に入れるためのファーストステップです。
怒りは"脳の救難信号"
怒っている脳は「目の前の状況にどう対応していいのか分からず困っている状態」だと書きました。
なぜ困っているのに怒るのでしょうか?
そこには"脳の仕組み"が関係しています。ぼくたちの脳には危険なことに対応するための「3F(スリーエフ)反応」という機能が備わっています。
人間は危険な状況に直面すると、
- 「Fight(闘う)」
- 「Flight(逃げる)」
- 「Freeze(すくむ)」
のどれかで対応しようとします。この3 つの頭文字をとって「3F反応」です。
これは大昔に、まだ人間がマンモスを狩って生活していた頃に身につけた能力だと言われています。草原を移動中に突然ライオンに遭遇した場合、
出来る対応は
- 「ライオンと闘う」
- 「ライオンから逃げる」
- 「恐怖で足がすくむ」
です。
この反応、日本では「とうそう(闘争・逃走)反応」と呼ばれたりしますが、この機能は現代の人間にも根強く残っていて、それが「上司からの無理な要求」や「家族からの過剰な期待」に対して発揮されています。
上司からの無理に要求に対して、「逃げるわけにはいかない、でも、すくんでもいられない、、、、じゃあ闘うぜー!」となった結果が「怒り」という感情です。
この反応には人それぞれ出やすい癖があるので、困った状況に直面した時に自分が「闘う派」なのか「逃げる派」なのか「すくむ派」なのかを知っておくことも重要です。
脳のどこが困ってる?
脳科学の研究によると、怒りを感じているいる人やイライラしている人は脳全体で怒っているわけではなく、ある特定の部位が困っていたりパニックになっているそうです。
「脳番地」という考え方がとても分かりやすいので紹介します。
脳番地とは、
脳内に分布する神経細胞群を場所ごとにおおまかな働きを分類して「番地」を割り振ったもの
です。会社に部署があったりするように、脳内にはそれぞれ専門の領域があるということですね。
この番地は8つあります。
- 思考系
- 伝達系
- 理解系
- 運動系
- 聴覚系
- 視覚系
- 記憶系
- 感情系
そしてぼくたちは、①〜⑦のどこかの系統で「対応できない!緊急事態!」と感じた時に、回避方法として⑧感情系で「怒り」を出すのだそうです。
それぞれの番地の主な「できない」はこのように↓なります。
- 思考系(「考えられない」)
- 伝達系(「伝えられない」)
- 理解系(「理解できない」)
- 運動系(「動けない」)
- 聴覚系(「聞こえない」)
- 視覚系(「見えない」)
- 記憶系(「思い出せない」)
たとえば、一気に仕事量が増えて怒っている人は、何から手をつければいいか「考えられない(思考系)」からの可能性が高いですし、
テレビドラマを見ているママを邪魔する子どもが怒られるのは、ママが「画面が見えない(視覚系)」「音が聞こえない(聴覚系)」からが考えられます。
旦那さんに対してイライラしている場合は「言っている意味が分からない(理解系)」「連絡がない(伝達系)」などが考えられます。
このように①〜⑦の系統どれか、または複数で「対応できない」「困った」と判断すると、⑧の感情系で「怒り」を感じるようになります。すると、アウトプットができる脳番地である、①思考系②伝達系③運動系のどれかを使って「怒り」を表現します。アウトプットの例としては、
- 思考系→「相手を論破する」「仕返しの計画を練る」
- 伝達系→「嫌味を言う」「無視する」「怒鳴る」
- 運動系→「モノに当たる」「殴る」
などの反応が出ます。
怒りを感じることは悪いことではない
ここまでの話を読むと、「怒りを感じるのは自分が悪いからだ」「感情コントロールできていない自分が悪いんだ」と落ち込んでしまうかもしれませんが、それは違います。
怒りとは脳の救難信号です。イライラしてしまうことは今の自分が上手く対応できないこと、つまり自分にとって苦手なことなんです。
それを無理やり押し込めたり無視してしまっては人間関係で後々大きなトラブルを起こしてしまいかねません。
客船が沈没して小舟から救難信号を出している人を無視したりはしないと思います。
怒りという救難信号も同じです。怒っている人は脳のどこかが困ってパニックになっているんです。怒りを感じることは体にとって必要なサインです。
これはあなたの周りにいる「よく怒っている人」「いつもイライラしている人」「愚痴ばかり言う人」にも当てはまります。
いつもイライラしているあの人も、例に漏れず、目の前で起こっていることにどう対処していいか分からず困っている人です。状況に上手く対応できずにパニックを起こしているのです。
そうやって「怒る」という感情が脳の救難信号だと思うと、イライラしている人への見方も少し変わりますよね。
怒ってばかりいることのデメリット
いくら怒りが脳の救難信号とはいえ、怒ってばかりいると損をすることが多いです。誰かがイライラしている場合には「あの人は今困っているんだな」「大変そうだな」と思えばいいのですが、自分の場合にはそうはいきません。
怒ってばかりいることにデメリットが多いからです。具体的には、
- 怒ると脳が非効率的になる
- 怒ってばかりいると友だちが減る
- 怒ってばかりいると脳は成長しない
などがあります。
ここからは「怒りがもたらすデメリット」を3つ紹介します。
怒ると脳が非効率的になる
怒っている時に物事を進めてしまい、後になってから後悔した経験はありませんか?
人が怒っている時というのは「困っている時」や「目の前の状況に対応できない時」ですが、脳は、不安や危機を感じると解決方法を見つけるために脳をフル回転させます。
その時に必要になるのが大量の酸素です。脳は問題の解決方法を見つけるためのエネルギーとして酸素を使うのです。
そのために普段から全身に酸素を運んでいる血液が一気に頭に集められます。
これが俗いう「あがる」という現象で、仕事の大事な場面や発表会直前に頭が真っ白になってしまうのは「血液が脳内にあがる」からです。
血液の量が一気に増えると、脳はエネルギーを効率よく消費することができなくなってしまいます。解決策を考えるどころか正常に頭を働かせることすら難しくなってしまうのです。
その結果どうしていいか分からなくなって、苦し紛れに言わなくてもいいこと言ってしまったり、やらない方がいいことをやってしまったりするわけです。
怒りを感じたことを「頭にきた」と言ったりもしますが、頭に来ているのは「怒り」ではなく「大量の血液」です。パフォーマンス能力が低下するので注意が必要です。
しかも、一旦「頭に(血液が)来た」状態から通常の状態に戻るまでには30分〜1時間くらいかかるらしいので、正常な判断ができずに事態を悪化させる前に、怒りを感じたら少し時間を置くことが大切です。
怒ってばかりいると友だちが減る
また、怒った人の行動として、
- 相手の前で黙りこむ
- 相手を無視する
- 攻撃的な口調で責める
- 怒鳴る
- モノに当たる
などがあります。
なぜこんなことをしてしまうかと言えば、怒りを感じた人は(怒りを感じさせてくる)刺激を遠ざけようとする特徴があるからです。
たいていの場合、怒りのきっかけは他人にあります。だから他人に暴言を吐いたり無視したりして距離を取ろうとするわけです。一種の防衛本能みたいなものですね。
しかし、反対に怒りをぶつけられる側になってみると、怒鳴られたり無視されたりすると、酷い扱いをされていると感じます。そしてそれが繰り返されるとだんだんその人(いつもイライラしている人)と関わりたくなくなってきてしまいます。
上司がいつも怒ってばかりいると、部下は上司を避けるようになり情報の伝達も上手くいかなくなってしまいますよね。
怒っている人は自分を守るために他人を攻撃したり無視をして離れようとしますが、怒りをぶつけられる側の人も怒っている人やイライラしている人からは離れたいんですよね。
その結果、いつも怒っている人の周りには人が集まらなくなり、孤独を感じるようになってしまうのです。
ちなみにこれ、親子関係にも当てはまります。子どもは親がいつもイライラしていたり怒ってばかりいると、いろんな方法を考えて刺激(親)から遠ざかろうします。思い当たる節、ありませんか?
「怒り」は人間関係も壊すし、コミュニティも壊します。デメリットしかありません。
怒ってばかりいると脳は成長しない
もう1つがこれです。
怒ってばかりいる人ってどこか幼稚に見えませんか?
年相応に見えないというか、上司や姑さんに対して「もう◯歳なのに、こんなことで怒るの?」みたいな。
これにもちゃんと理由があるんですよね。
その理由とは「怒ってばかりいる人は脳が育ちにくいこと」です。
脳科学では、脳が成長する時の状態を「枝が伸びる」と表現するそうです。「枝」とは、脳の神経細胞同士をつなぐネットワーク回路のことです。
保育・教育業界では子どもたちの成長には「わかった!」や「できた!」が大事だと言われています。
その理由は、人の脳が「わかった!」や「できた!」と感じる瞬間は「枝」が伸びて新しい回路ができる瞬間だからです。成長とは、脳内の「枝」が増えることなんです。
そして重要なポイントは、「脳内で枝が伸びる時は、脳が酸素を効率よく使えていてストレスが少ない状態の時」だということです。
しかし、怒ってばかりいる人の脳内は、先ほども書いた通り、酸素の消費効率が悪くて常に不快なストレスでいっぱいです。そのため「枝」がなかなか伸びないので、結果、脳が成長しにくいようなのです。
脳が成長しなければ解決方法を上手く考えることもできず、苦手な状況もずっと苦手なままで対応できないことが多く、また怒ってしまう、、、この悪循環がずっと繰り返されるのでいつも怒っている人はいい歳になっても幼稚に見えてしまうのかもしれません。
20代30代の人がイライラしてばかりいると、脳が成長しないまま40代50代になってしまいます。そうすると、社会的な立場や年相応の対応が必要なのに上手く対応できないことが多くて「いつも脳内はパニック」「今まで以上にイライラしてばかり」になってしまうかもしれません。そんな人生は嫌ですよね。
怒らないでいることはすごく重要なんです。
まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございました。
今回の話で最重要なのは、怒りとは、目の前の状況への対処方法が分からず脳が困っている状態だということです。
ということは、怒りの感情はプラスに捉えることができます
あなたが怒ってしまうことや、いつもイライラしているあの人がイライラしている原因は、その人が今はまだ上手く対処できないことです。ということは、その事柄に対して上手く対処できるようになれば、怒ることもイライラすることもなくなるわけです。
「昔はよく◯◯で怒っていたけど、最近は怒らなくなった」ってこと、いくつかありませんか?
それはあなたがその状況に上手く対処できるようになったからです。つまり成長したんです。
「それはまだ若かったからだよ」と思うかもしれませんが、実は脳は鍛えれば一生涯成長を続けることが分かっています。
怒っている時、イライラしている時は、人生をいい方向に向かわせるチャンスです。
苦手なことへの対処方法を学ぶ絶好のチャンスなんです。
怒ったりイライラすることはものすごく損が多いです。
毎日を楽しく過ごすために、この機会に「怒りの感情」との上手な付き合い方を探してみてみましょう!!
「怒らない」に関する書籍
『脳が知っている 怒らないコツ』
『脳の強化書』
『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』
最後まで読んでくださってありがとうございました。