0〜2歳

【2歳までが重要】知っておきたい「子どもと汗」の知識をわかりやすく解説

かんかん

今回は子どもの"汗"の話です。

「うちの子すごい汗っかきなのよね」

真夏に公園で遊んでいる子どもや、保育園や学校の園庭•校庭で遊んでる子どもたちの中には、まるでシャワーを浴びたかのような濡れ具合で汗をかきながら夢中になって遊んでいる子がいます。

少し歩いただけで"汗だく"になっている子どもたちもいますよね。

そんな様子を見るたびに「子どもって汗っかきだなぁ」と思うわけですが、
そもそも
子どもの汗について考えてみたことはありますか?

疑問

  • 汗をたくさんかくことは良いことなのでしょうか?
  • 子どもは本当に、大人に比べて汗かきなのでしょうか?

今回はこのあたりの疑問を解決したいと思います。お子さんが2歳以下の方は特に必見です。なぜなら、汗や汗腺に関しては、2歳までの環境がその子の一生を左右するからです。

この記事の執筆・監修者


かんかん
(インスタ@kankan_kosodate


幼児教育者で一児の父です。仕事経験を活かした幼児教育と英語教育の情報を発信しています。

 

<経歴>
・保育士&ベビーシッター 10年
・子ども英語教育業界 2年
・オーストラリアで保育士
・海外留学
・夫婦で世界一周

 

汗に関する基礎知識

まずはじめに、汗に関する基礎知識として、体の汗が出る部分「汗腺」についておさらいしましょう!

汗腺(かんせん)とは?

mohamed_hassan / Pixabay

そもそも「汗」というのは、ヒトの皮膚にある「汗腺(かんせん)」という小さな穴から分泌されます。

「汗腺(かんせん)」の数は人種によって違うと言われていますが、だいたい1人200万個〜500万個の間になるそうです。日本人は平均で230万個くらいの汗腺があるのだとか。

また特徴の1つとして、寒い国に住んでいる人は汗腺が少なく、暑い国に住んでる人は汗腺が多いそうです。

これはなんとなく納得できますね。
汗には体温を下げるという体温調節機能があるので、寒い国に住んでいる人は体温を下げる必要性があまりなく、暑い国に住んでる人はよく汗をかいて体温を下げようとするので、汗腺が発達する、ということです。

汗を出す汗腺と汗を出さない汗腺がある

そして、汗腺について、すごく重要なことがあります。

それは、身体中の汗腺のうち、

  • 汗を出す汗腺(能動汗腺)
  • 汗を出さない汗腺(不能汗腺)

の2種類があるということ。

つまり、多くの日本人が230万個もの汗腺を持っていても、能動汗腺が多い人は汗っかきで、不能汗腺が多い人は汗をかきにくいということになります。

そして、さらに重要なのが、
人間の汗腺は、生まれた時から「能動汗腺」と「不能汗腺」のバランスが決まっているわけではないということです。これは、生まれてから何年間かの段階で、能動汗腺と不能汗腺のバランスが決まる時期があることを示しています。

汗腺の数はいつ決まる?

では、その働く汗腺と働かない汗腺の数はいつ決まるのでしょうか?

この疑問については、名古屋大学名誉教授の久野先生という方が行った、汗腺に関する有名な研究があります。

その研究結果によると、

人の汗腺は、2歳半頃までに”能動汗腺”か”不能汗腺”であるかが決まり、それ以降は”不能汗腺”が”能動汗腺”になるようなことはない

と結論付けたそうなのです。久野さんの著書汗の話に書かれているようです。

これが「汗をかく力は2歳までに決まる」という話の根拠になります。

活動する汗腺の獲得は生まれてから2歳半までが重要

この研究結果、結構な衝撃的事実ではないでしょうか?

3歳以降はもう、どう頑張っても能動汗腺を増やすことはできないのです!

汗が出る汗腺の数は、生まれつきのものではなくて、生まれてから最初の2年というごく短い期間の生活の中で決まっていたのですね。

ポイント

体温調節を左右する能動汗腺の数をできるだけ多く獲得するには、2歳半までの時期がものすごく重要

子どもは本当に汗かきなのか?

ddimitrova / Pixabay

真夏に子どもたちが外で遊んでいると髪の毛を濡らして汗びっしょりになっていることがありますよね。あまりの汗の量に、「この子、こんなに汗かいて大丈夫かしら」と心配になったりすることも。

しかし、これはさきほどのの研究結果を参考にするのであれば、2歳半以降の子どもは”能動汗腺”と”不能汗腺”の数が変わってないことになります。

幼稚園や小学校に通っている子どもも、30歳や40歳の大人も、その人が2歳の時から汗腺の数が変わってないとすると、大人より体が小さい子どもの方が汗をよくかいているように見えるということなのでしょうか?

参考

ちなみに、赤ちゃんや子どもが"あせも"になりやすいのはこれが理由で、皮膚の面積に対して汗を分泌する汗腺の数が多すぎて汗腺に汚れが詰まり、炎症を起こしやすいのだそうです。

「子どもは汗かき」なのではなくて「子どもは汗かきに見えていた」というのが正解なのでしょうか?

実はこれも間違いです!

専門家によると、「子どもは汗かき」どころか、「子どもの汗をかく機能は未熟で、思春期の頃まで上手に汗をかくことはできない」のだそうです。(「子供と汗」の最新&正しい知識! 多汗症&無汗症&臭い対策も

ポイント

汗を出す能動汗腺の数は2歳半で決まるが、能動汗腺から汗を上手に出す能力は思春期の頃まで未熟なまま

体温調節をする方法には2種類あります。

  1. 汗をかく(発汗)
  2. 皮膚の血流を増やして皮膚の温度をあげる

発汗能力の未熟な子どもはどうしても②の方法を取ることになり、その結果、皮膚が熱くなったり頬が赤くなるので、子どもはよく汗をかいているようにみえやすい、というのが答えのようです。

子どもは大人より発汗能力が高い訳ではではなかったのですね。

子どもは汗をかかない方が心配

ここまで読んで、子どもの汗のかき過ぎが心配でこの記事を読み始めた方も、「子どもの汗かき」は悪いことではないと分かったかと思います。

むしろ、汗をかかなさ過ぎの方が心配ですよね。

というのも、そもそも発汗とは体温を調節するための機能です。

汗を出す能動汗腺の数が少なければ、

  • 真夏の炎天下にいる時や運動をして体温が上がってしまった時
  • 風邪を引いて体温が上がった時

うまく汗を出せずに体温を下げることができない恐れがあるからです。

体温が下げられないとどうなるかというと、オーバーヒートした機械と同じで、体はその熱に耐えきれずに体調を崩したり倒れこんだりしてしまいます。

毎年夏になると「熱中症で小学生が搬送」「中学生が部活中に倒れて搬送」といったニュースが毎日のように流れるのも、能動汗腺の数の不足が原因の一つになっているとも言われています。

汗腺の数を増やすには?

さて、そこで気になるのは「能動汗腺」の増やし方ですよね。

どうすれば汗をしっかり出してくれる汗腺を増やすことができるのか。ちゃんと解説します。

まず重要なことは、能動汗腺と不能汗腺の数は2歳前後で決まることです。

ということは今の段階ですでに3歳以降の人は、今ある能動汗腺をケアしながら今回の人生を歩んでいくことになります。(→"能動汗腺の数"と"汗をかく力"は別ですので、もちろん対策はあります。)

しかし、お子さんがまだ2歳半以下の場合は能動汗腺を発達させるチャンスがありますね!

ここでヒントになるのは、暑い国の人は汗腺が多くて、寒い国の人は汗腺が少ないことです。

つまり、よく汗をかいた方が汗腺は発達するのです。

ということで、生まれてから2歳前後の子どもはよく汗をかける環境を用意してあげることがとても大切になります。

紫外線対策はもちろん必要ですが、外に出て太陽の元で汗をたくさんかくことが重要なんですね。

"エアコン漬け"にも要注意

mohamed_hassan / Pixabay

ここまで来ると、赤ちゃんの汗腺発達には、注意点があることがわかります。

それは、真夏のエアコンを代表とする「快適過ぎる環境」です。

生まれてからずっと、汗をかかなくても過ごせる快適な室内で生活することが多い子どもたちは、「汗をかける所」が激減しています。

気温や湿度が快適に管理された場所で生活することが多くなった現代で、赤ちゃんが汗をかける場所は一体どこにあるのでしょうか。

家の中でもエアコン。
車や電車の中でもエアコン。
ショッピングセンターでもエアコン。
保育園でもエアコン。

快適ですよね。

しかし、ぼくたち大人は、大人にとって便利で快適なものというのはたいてい、子どもの成長にとっては不要なものか、逆に発達を阻害するものが多いということを知っておかなければいけません。

この2択はどちらが正しいのでしょうか?

  1. 「最近の子どもたちは体力がなくなったからエアコンを使った快適な環境を用意してあげなければならない」
  2. 「最近はエアコンなどで快適な住環境が当たり前になったから子どもたちの体力がなくなってきた」

ぼくたちは子どものために、しっかり考える必要があると思います。

エアコンは上手に使う

いくら"エアコン漬け"は良くないとはいえ、極端になりすぎて

「じゃあウチはエアコンは一切使いません」

みたいになってしまうのは違うと思います。

真夏の夜の寝苦しさは日中の体調不良にもつながるので、夜寝る時や日中の酷暑の時間帯は使ったほうがいいと思います。

しかし、24時間エアコン付けっぱなしや、外で遊ぶ機会がほとんどない生活は「子どもの体力をつける」という視点でみるといかがなものかと思ってしまいます。

バランスを大事にしたいところですね。

さいごに

というわけで今回は子どもの汗と汗について書きました。

物事にはいろんな要素が複雑に絡んでいるので、今回の話だけがピンポイントに子どもの成長に影響するとは言えないのですが、「確かにそんな気がするね」「少しずつ気をつけようかな」くらいに思っておくのがいいのかもしれません。

注意ポイント

汗をかくことは大切ですが、汗をかいたらなるべく「すぐに拭き取る」「シャワー浴びる」「着替える」などのアフターケアをして肌を清潔を保つことをお忘れなく^_^

子どもの「汗」「健康」に関するオススメ書籍

この分野は、日本体育大学教授の野井真吾さんがとても詳しくて分かりやすい本を書いているので3冊紹介します。

『子どもの体温と健康の話』

『からだの元気大作戦!』

『めざせ!からだはかせ(1)』

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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