この記事は、
保育士のぼく(@kazukirin1989)が26歳の時に、合計60日間(2016年2月〜4月)でアジアの国を中心に10ヶ国1人で旅した記録です。
せっかくなので旅行記っぽく書いていきます。
3月6日、くもり
今ぼくがいるのはネパール西部の街、ポカラ。
天気は曇り。結構冷えている。
朝ご飯は洋風だった。
マサラティーが美味しい。2杯も飲んでしまった。
さて、いよいよ今日からネパールの山に入る。
宿から登山口にタクシーで行く途中、雲が少し晴れて7000メートル級の山が見えた。森林限界を悠々と越え、雪を被りつつも黒い岩肌が見え隠れするその山の姿に否が応でもテンションが上がる。
ワクワクを抑えきれずソワソワしていると、いつの間にか今回のトレッキングの登山口になるナヤプールという街に着いた。
お店がいくつかあり、そこで出発前のミルクティーを1杯。
ネパール人は本当にミルクティーが大好きだ。
しかも激甘の。
ネパール人が「お茶でもするか??」って誘ってきたら絶対ミルクティーが出てくる。コーヒーはほぼ出ない。
激甘のミルクティーが出てくる。
朝9時、出発
さて、いよいよ出発だ。
出発記念にガイドのサンタさんとパシャ。
まずは車も通るような道を歩き続ける。
登校中の子どもとすれ違ったり、
車の乗り方がワイルドだったり、
ロバ達が通ったり、
歩いていて全然退屈しない。
ニワトリ達もそこら中で放し飼いされてます。
そして、この時点での後悔が。
やっぱ荷物重い(笑)
平坦な道を歩いているだけなのに肩にずっしり重みがのしかかってくる。
ガイドのサンタさんのミニマリスト具合がうらやましい。
荷物の重さに不安を覚えながらひたすら山道を歩く。
12時、昼食
3時間ほど歩いて休憩&ランチ。
ランチはダルバートというネパールの料理。
山小屋の料理でこのダルバートという料理だけはおかわりができるそうで、山を行くネパール人たちにとってエネルギー補給源らしい。
ぼくもそんな現地の気分を味わいたくて、そして単純にお腹が空いていたというのもあってダルバートを注文した。
「ダル」というのは豆のスープのことらしい。
まずはスープを一口ごくり。
おいしい。
カレー風味、、、?うまく説明できないがとにかくご飯にめちゃくちゃ合うスープだ。
次に、おかずの鶏肉を一口パク。
はい、辛い。
激辛。
付け合わせのジャガイモ炒めと漬物も激辛。
ガイドのサンタさんが「これは全部混ぜて食べるんだよ」っていうからやってみたけど、ただ辛いのが広範囲に広がっただけ。
そんな激辛ダルバートだが、この先のトレッキング中はなんどもお世話になることに、、、
だって、このメニューだけおかわり自由なんだもん。何時間も歩き詰めだからお腹空くんだもん。
辛さよりもエネルギー補給を優先した結果のダルバートである(笑)
食後はヒリヒリする口の中が気になりながら石に座ってしばし休憩。対岸の山を見てぼーっと癒された。
気づいたら30分くらい経ってて、サンタさんが「はい、そろそろ行くよ」って。
13時、怒涛の登り
ランチ後からの2時間(13時〜15時半)は今日泊まる宿に向かうために山を一つ登ったのだが、それがめちゃくちゃつらかった。
今まで経験した運動の中では自分史上最高のキツさだったのだ。
山1つ分ずっと階段が続いていて、しかもその角度がエグくて、、、
息も絶え絶えに一段ずつゆっくりゆっくり登ることしかできなかった。
どれくらいつらかったかって言うと、
その時の写真が1枚もないくらい。
普段なら「このつらさ伝えるためにあとでブログに載せよう」という思考が働いて写真を撮るのだが、その時はその余裕がないくらいキツかったみたい(笑)
まだ登り始めて1日目の出来事である。この先10日間も行程があるのに毎日こんな登りが続いたら死んでしまう。
この急な階段を約2時間登ってる間、ぼくは、「どういう理由で引き返そうか」ばかり考えていた。笑
しかもこの階段は、角度だけにとどまらない「がっかりポイント」がありまして。
この階段は荷物運びのための馬もロバもたくさん通る地元民の生活に根ざした場所。
彼ら、カランカランと首につけた鐘を鳴らしながら、めっちゃウンコ落としていくんですよ。
まあある種それはしょうがないと思う。ロバや馬に「ウンコはトイレでしてください」なんて言えないし、ぼくは現地の生活の場にお邪魔している身ですから、文句は言えない。
でも、香りがさ。
あの香りがさ。
こっちはさっきも言った通り、急階段をハァハァ言いながら登ってるわけで。
息を吐く時の「ハァ」はまだいいですけど、吐いたあとの「スゥ」はそりゃあつらいのなんの。
肺いっぱいに馬糞臭(ばふんしゅう)。
乱れた息を整えるため、たまに深呼吸をしてみるものの、肺に染み入る馬糞臭。
例えるなら牛舎や養鶏場の建物の中で2時間ランニングマシンやってる感じだ。笑
いや〜つらかった。
サンタさんのウソ
そんな過酷な登り階段を1時間半くらい登ったくらいところ、
ぼくはもうフラフラだった。「今日はココで野宿でもいいから」そう思うくらいに足が重く、精神力も弱り切っていた。
まだトレッキング初日。自分よっわ(笑)
そんな中、サンタさんに「あとどのくらいかな??太ももつりそうなんだけど」って聞いたら、
「あとちょっとです。あの建物だよ」って、上に見える青い山小屋を指すサンタさん。
「お!!あそこならあと15分くらいじゃん!!あの距離なら頑張れる!!」そう思って最後の力を振り絞り、プルプル震えている足を1歩ずつ踏み出して登る。
そして、20分後。ようやく、さっきサンタさんが指差した建物に着いた。
ぼくは乱れる息を整えながら、「(はぁはぁ)ココ??(はぁはぁ)今日ココで泊まるの??」と聞くと、
サンタさん、ケロっとした顔で首を横に振りながら「ココじゃなくてもうちょっと上、宿まであと30分くらい」って。
うぉいサンタぁ〜!!ウソだけはつくなや〜!!
お願いだからぁ〜ウソだけはぁ〜(泣)
極限の状態でゴールしたと思って気が抜けたあとの30分の登りはつらいよー??
しかも雨が降り出してきた。この状況で天はぼくを見放したのか!!??
ぼくは精神的にも肉体的にも疲労の限界で、
もう雨具着るのもめんどくさくて、
今日はもうヤケクソでこのまま宿まで行ってやろうと思って歩いていたら、
後ろでサンタがなにやらガサガサしてやがる。
パッて振り向いたら、
てめぇー!!!!笑
この野郎、荷物少なかったのはこーゆうこうことかぁ!!!
なんてツッコむ元気もなく、
むしろ一気に気が抜けて、なんだか楽しくなってしまった。笑
相変わらず足は痛いままだったけど、ぼくがハァハァ言いながらうつ向いてトボトボ歩く後ろで、手に持った竹棒をカンカンやりながら軽快なステップで歩いてるヤツ(サンタ)に「あとちょっとね、ガンバルヨ」と何度も励まされながら山小屋までなんとか歩ききった。
山小屋到着
山小屋に着いて雨で濡れた身体をまずシャワー。
冷えた体に温水シャワーが何よりの幸せ。
そのあとは薪ストーブにあたりながらの温かいミルクティー。
テラスからの景色も良い。
「山登りの楽しさが分からない」という人は多いが、確かに山登りは時間でいうと全体の8割くらいは辛かったりキツかったりする。素晴らしい時間や快適な時間なんて全体の2割くらいだ。
しかし、時間的には全体のたった2割のその時間に、山登りの8割の「楽しさ」や「魅力」がグッと詰まっている。
世に言う『パレートの法則(2対8の法則)』はこんな所にも現れるのだ。
昼にダルバートを食べたため、夜は別のものを食べようと、チャーハンを注文したら山小屋のお姉さんがハート型のチャーハンにしてくれた。
男2人で山にいるぼくとしてはなかなか嬉しいサービスだ(笑)疲れた体を回復させるエネルギーになる。味もめちゃくちゃ美味しかった。
そして、なぜかサンタさんも料理を手伝っていた。
ちなみに山小屋では火は薪を使っている。
ネパールでは、都市部以外では火力には薪を使うのが普通らしい。
薪を使いながらも強火とか弱火を使い分けてる山小屋の人たちにはすごく器用で、アウトドア好きのぼくとしてはとても良い技術を見ることができた。
昔の日本も、ガスや電気が普及する前はこういう暮らしをしていただんだろうなぁ。
爆睡警報発令
そんなこんなでトレッキング1日目が終了。
爆睡警報発令中。
今晩の願いはただ一つ。夜中に足がつりませんように。
あと10日間もこんな毎日が続くのかと思うと、ちょっとメンタルやられそうだが、来てしまったからには前に進むしかない。
「はるばるネパールまでやって来たんだ、やるっきゃない」
そう強く意気込みながら布団に入った。
ちなみに今回のガイド、サンタさん、年齢はぼくの1コ下、25歳(当時)である。
そして長男らしい。妹が3人もいてガイドで稼いだお金は家族に仕送りしているそうだ。
長男と聞いて驚いた。
ぼくの経験上では、次男の感じがすごい出てるんだけどな、こーゆう感じ
何はともあれ、今のぼくにはサンタだけが頼りである。
よろしく頼む!!(まじで)
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保育士のアジア旅2016Day29@ネパール【トレッキング3日目[登り]】
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