あなたが子どもの頃、周りの大人に「将来の夢」を聞かれたことはありますか?
もしかして、「キミの将来の夢は何?」とか「大きくなったら何になりたいの?」という聞き方ではありませんでしたか?
はっきり言って、この聞き方はもう時代に合っていないかもしれません。
というのも、これって「キミは将来どんな職業に就きたいの?」という意味ですよね?
だから答える時は、
男の子なら「警察官・パイロット・お医者さん」
女の子なら「ケーキ屋さん、花屋さん、保育園の先生」
のように、職業を答えていたと思います。
しかし、将来の夢を「職業」で聞くことがもう時代遅れなんです。
将来の夢を職業で聞くことが時代に合わない理由が2つあります。
- 今ある職業が子どもたちが大人になる頃にまだあるかどうか分からない
- その職業に就くことが目的になってしまい、「どんな人になりたいか」まで考えない
子どもたちが本来考えた方がいいのは、「何になりたいか」よりもまず「どんな人になりたいか」や「将来どんな生活を送りたいか」だと思います。
これからの時代は「何なりたいの?」という将来の夢の聞き方はタブーになって、
「どんな人になりたいの?」や「大人になったらどんな生活がしたいの?」という聞き方が
子どもたちにとって必要になってくるはずです。
手段が目的にならないように
「将来の夢って、その職業になることが目的になりがち」
こんなことを思うようになったのは僕自身の経験からです。
ぼくは高校生の頃、保育士を目指し始めました。
しかし、いつの間にか「保育士になること」が目的になっていました。
本当は「どんな保育士になりたいか」を考えておく必要があったと、働き出してから強く感じました。
なぜそれ(職業)を目指しているのか?
この質問を学生時代にもっとしっかり考えておけば良かったなという後悔があるんです。
例えば
「ぼくは落ち込んでいる人を元気にしたい、だから芸人(職業)を目指している」
といった理由なら、目的がはっきりしていて分かりやすいですね。
これなら、「芸人になること」が目的ではなく、
「落ち込んでいる人を元気にすること」が目的だとわかります。
ということは、芸人という職業にこだわらなくても、カウンセラーでもいいし、
作家でもできるんじゃないかって思えますよね。
「どんな人になりたいか」という目的が最初にあって、
そのために「○○(職業)になりたい」という手段がくる。
この順番は大切だと思います。
ぼくが子どもの頃はどうだったか
ぼくが生まれたのは1989年、高度経済成長バブルが崩壊する直前です。
第一生命が1989年から毎年発表している『大人になったらなりたいもの』というランキングを見てみると、
1989年(約30年前)は
男の子 | 女の子 |
1位 野球選手
2位 警察官・刑事 3位 おもちゃ屋さん |
1位 保育園・幼稚園の先生
2位 お菓子屋さん 3位 学校の先生・看護師さん |
となっています。
ぼくが小学生の頃は、パイロットや電車の運転士、ケーキ屋さんや花屋さんなども人気だったように思います。
ちなみに、最新の2017年のランキングは
男の子 | 女の子 |
1位 学者・博士
2位 野球選手 3位 サッカー選手 4位 お医者さん・警察官 |
1位 食べ物屋さん
2位 看護師さん 3位 保育園・幼稚園の先生 4位 お医者さん |
だそうです。最近では、ユーチューバーやゲームクリエイターなどもランキングに入ってきて時代の変化を感じますね。
ここで大事なポイントは、
子どもたちが目指している「大人になったらなりたいもの」はどれも「職業」なんだってことです。
職業を目指してはいけない時代
経験がある方も多いと思いますが、
あまり深く考えずに何かの職業や資格を目指して手に入れたとしても、結局やってくるのは「あぁ、ここからがスタートだった」という現実です。
ぼくで言えば保育士ですが、いざその職業に就いてから「○○という仕事に就くことが目的になってしまっていた」と気づくわけです。
大企業に入ることも、国家資格を取ることも、それ自体が目的になってはダメなんです。
どうしてその仕事がしたいのか、をまず考えてからでないと。
さらにもう1つ理由があります。
10〜20年後には今現在ある仕事の47%が無くなる可能性が高いってアメリカのオックスフォード大学の研究で発表されているのはご存知でしょうか?
例えば電車の運転士はこの先無くなる職種だとその論文で指摘されています。技術の進化によって自動運転の精度が上がれば人間よりも安全でコストが安くなるのでしょう。
他にも銀行窓口係や医療事務員なども無くなる可能性が高いと発表されていますね。
つまり、いま小学生の子どもが「将来は○○になりたい!!」と夢を持って進学したとしても、その子が大人になる10年後20年後にその職業自体がこの世から無くなっているかもしれないのです。
これからの「将来の夢」の聞き方
では、子どもたちは将来に向けてどんなことを考えればいいのでしょうか。
そして大人はどんな将来の夢の聞き方をしたらいいのでしょうか。
今まで以上に未来が予測できない現代に生きる子どもたちには、
「将来どんな職業につきたいか」よりも「将来どんな人になりたいか」「将来どんな生活がしたいか」を一生懸命考える時間が必要だと思います。
というわけで、子どもに将来の夢を聞く時の聞き方です。
聞き方のポイントは2つあります。
ポイント
- 「大きくなったらどんな人になりたい??」と聞く
- 子どもが答えたことに「どうしてそうなりたいの?」と聞いてみる
職業よりも、どんな人になりたいか(ex:人の役に立ちたい、モノ作りをしたい、生き物の世話をしたいetc...)をまず考えるような質問が大切だと思います。
将来の夢に限らずですが、子どもの答えに対して「どうしてそうなりたいの?」「なんでそう思うの?」と聞くことで、子どもたちは自己分析をする習慣がつきます。
この2つのポイントを意識して、子どもに将来の夢を聞いてみてはいかがでしょうか。
子どものために大人ができること
さいごに、子どもたちが将来の夢を持つために周りの大人ができることを紹介して終わります。
たくさんの経験をさせてあげること
子どもたちが将来の夢を考える時は、自分の知っている範囲の中で考えることが多いと思います。
実際に見たことあるとか、やったことあるとか、親がその仕事をしているとか。
「子どもの将来の夢ランキング」を見ると、
スポーツ選手や警察官、ユーチューバー、食べ物屋さんが上位にくるのは、子どもたちにとって身近な存在だからで、
「システムエンジニアになりたい」とか「社長になりたい」とか言う子どもが少ないのは、身近じゃないからだと思うんです。
だから、子どもたちには小さい頃からたくさんの経験をすることが大切です。
それも知識として聞くだけではなく、実際にいろんな人と出会い、いろんな習い事や遊びを実際にやってみること。
子どもたちは自分が知っていていること、経験したことのある範囲で、自分の将来を考えていきます。
知らなければ考えようがないですもんね。
これを読んでるあなたも、もしも今の知識量のまま中学生だったら、今と同じ仕事や生活じゃないものを選ぶと思いませんか??
たくさんの経験する中で、「ぼくは将来こんな人になりたい」「わたしは将来こんな生活をしたい」と考えるようになることが必要だと思います。
自分も一度考えてみること
子どもの将来の夢ためにできるもう1つのことは、
大人であるあなた自身も「どんな人になりたいか」を考えてみることです。
普段から考えている人はいいのですが、あまり考えたことがない人はオススメです。
子どもに何かを伝える時に、自分がやったことないものを教えるのって難しいものです。
子どもを塾に通わせたり、スポーツのコーチに教えてもらうのもそれが理由だったりしますよね。
将来の夢も同じで、「どんな人を目指しているのか」を考えたことがないと、子どもにも伝えにくいです。
あなたが今すぐに塾の先生やスポーツのコーチになることは難しいですが、
将来の夢は今すぐにでも考えてみることができます。
子どもに「大きくなったらどんな人になりたい??」と聞くようになれば、
子どもも「ねぇねぇ、ママはどんな人になりたいの??」聞いてくるでしょう。
その時にちゃんと答えられるように、一度考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ポイント
- 今ある「職業」が、子どもが大人になった時には無くなっているかもしれない。
- 将来の夢は「どんな人になりたいか」「どんな生活がしたいか」で考える。
- そのためにいろんな経験をする。
- 親も「どんな人になりたいか」を考えてみる