先日、とあるネットニュース(時給「1000円ぽっち」払えない企業は潰れていい)を読みました。内容はタイトルにある通り「最低賃金をあげる必要性」について書いてありました。
記事の内容にとても納得したぼくは、記事を書いたデービット・アトキンソンさんの著書『日本人の勝算』を読みました。
そして、著書に書かれていた内容が、日本人にとって(特に子育て世代の日本人に)重要なことばかりだったので、ぼくが感じた危機感も含めてブログ記事にしました。
「人口減少と高齢化が進む日本には大変厳しい未来が待ち構えています。」
という言葉はよく聞くと思いますが、このブログ記事を読むと「日本の未来が具体的にどう厳しいのか」が具体的にわかります。
絶対にあなたの役に立つ情報ばかりです。そして、お子さんの幸せな未来は親が情報に柔軟かどうかにも関係すると思います。あなたのお子さんにも関係する日本の現実を知っておきましょう!
1番大切なこと
まず最初に1番大切なことを書きます。
これだけは絶対に覚えてください。
日本は今、常識が移り変わる時代にあります。
これは『パラダイムシフト』と呼ばれるものですが、このことをしっかり覚えておかないと、どんな情報を知っても上手く対応できなくなります。
「常識が移り変わる」とはどういうことかと言えば、簡単に言うと「ルールが変わること」です。
日本で生き抜くためのルールが変わったのです。
「今までバスケをやっていたのに、いきなりサッカーが始まるようなもの」と聞くとイメージしやすいでしょうか?昨日まで手を使うのがOKだったのに、今はもう手を使ったら反則なんです。
数年前まで当たり前だったことが令和の時代には当たり前じゃなくなる。これが1番大切なことです。
なぜ常識が変わるのか?
では、なぜ日本の常識が変わるのでしょうか。その理由は簡単。
前提条件が変わったからです。
バスケとサッカーで言えば、「競技」という前提条件が変わったことで「手を使っていいという常識」から「手を使ってはいけないという常識」へと変わります。
では、日本の常識を変えてしまった「前提条件」とはなんでしょうか。
それが今回の話のメインである、「人口減少」と「高齢化」です。この2つの前提条件が変わったことによって、日本の常識は変わり始めました。
今までの日本は「人口が増えていく」ことが当たり前の世の中で仕組みや制度を作ってきましたが、これからは「人口が減っていく」ことが当たり前の世の中で物事を考えなければいけなくなります。
この事実を大人が理解して、子どもたちに伝えてあげることはとても重要なことだと思います。
人口減少の何が問題なのか?
『日本人の勝算』を参考にしながら、日本が直面している大問題を見ていきたいと思います。
「少子化」「高齢化」がどのように問題になるのかが分かるはずです。
少子化と高齢化は分けて考えよう
日本では「少子化」と「高齢化」がセットになって「少子高齢化」という単語が使われていますが、実はとても特殊な単語です。
というのも、医療の発展や貧困の脱却から、世界的にみても人類は「高齢化」に向かっていることは確かです。しかし、ほとんどの先進国では人口は減少していきません。
世界の先進国のほとんどは
- 「高齢化は進むけど人口減少はしない国」
- 「高齢化が進むし、人口減少もちょっとだけ進む国」
に分けられます。
しかし、日本だけは「高齢化がめちゃくちゃ進むし、人口減少もめっちゃくちゃ進む国」なんです。その点でいうと、日本は世界の中で孤立しています。
これは、経済政策や政治を考える上で、日本が他の国とは前提条件が違うことを表しています。
「日本は少子高齢化と人口減少問題を同時に考えなくてはいけない、唯一の先進国である」。
ちなみに、これから日本でどれくらい高齢化が進むかというと、 2035年は33.4%で国民のほぼ3人に1人が高齢者に、 2060年には39.9%で国民の約2.5人に1人が高齢者になります。(参考)
これは大問題です。なぜなら、国民の割合で65歳以上が増えることによって景気が降下しやすくなる傾向があるからです。
高齢者が増えると景気が下がる?
高齢者が増えると景気が下がると言われる理由はいくつかあるようですが、その中での2つ紹介します。
主な収入源が給料である若い人はインフレを好む傾向がある一方、65歳以上の高齢者層は、資産は持っていますが収入は少ないのでデフレを好む傾向があるというのです。
どういうことかというと、65歳以上の人は給料などによる安定収入がないので「物価が低ければ出費が抑えられるので好ましい」と考える人が増えるので、「物価をあげていこう!」という政策を嫌う傾向があるということです。
経済を良くしていくためにはインフレ(物価が上がること)が必要なので、若い世代が求める政策とは逆行しやすくなるのです。
もう1つの理由はこちら。
若い人が多い経済ではモノを消費する比率が高いので製造業が盛んになります。一方、平均年齢が上がれば上がるほど需要が変化し、製造業からサービス産業に経済構造の中心が移動するとあります。
戦後やバブルの頃は日本に若い人が多く、今のように生活も便利ではなかったので、(家電や車や家など)欲しいものがたくさんあって消費が活性化していたのですが、年を重ねるごとに欲しいものは減っていき、モノを長く使うようになることで買い替えのサイクルも遅くなります。
田舎のおじいちゃんやおばあちゃんで、「わたしゃね、次はiPhone XRを買うよ。」とか「Galaxy Noteが気になってるよ」という状況はあまりないと思うんです。
物を買うよりもマッサージや銭湯、旅行などにお金を使うことが増えるので、今までの産業構造が変わってくるのは当然ですよね。
人口が減ると景気が下がる?
人口が減ることでも景気が下がると言われています。
日本ではこれから人口が減るので、学校、美容室、食料品、車、住宅などなど、人間の数に依存するモノとサービスの需要が減ります。また、高齢化によって需要されるモノが変わります。
当たり前ですが、人が減れば必要な物も少なくなります。お店や会社側からすれば絶対的なお客さんが減るということです。
人口が減った分、消費量が増えれば別ですが、車を1人2台持ちしたり、冷蔵庫や洗濯機が一家に3台ずつなんてことにはならないと思います。この時点で自動車業界や家電業界は新たな対策を考えなければいけません。
保育業界や教育業界でも当然で、子どもが減れば必要な職員の数も教材の数も減ってしまいます。
さらに、高齢化が進むことで必要とされる物が変わります。おしゃれなサングラスよりも老眼鏡が売れるでしょうし、スマホも最新のテクノロジーが詰まった物より「かんたん設定」のついた物が好まれるようになるでしょう。
これまでの日本は、若くて元気に働く20代30代向けの人数が多かったので、そこに向けて製品を出せば売れました。しかし日本ではその常識がすでに変わっています。モノやサービスを買ってくれる世代は高齢者なのです。
さて、あなたの業界はどうでしょうか?
旦那さんが就いている仕事の業界はどうでしょうか?人口が減り、高齢化が進むことでどんな影響がある業界でしょう?
人口が減少することの悪循環
高齢化や人口減少で物が売れにくくなるということですが、重要なことは、物が売れないということがぼくたちの生活にどう影響してくるのか、ということですよね。
結論から先に言うと、物が売れない時代にはぼくたちの給料が下がっていく可能性が非常に高くなります。
なぜなら、
人口が減る
↓
物やサービスを買う人が少なくなる
↓
会社の儲け(利益)が少なくなる
↓
会社ができる対策は次の4つ
①雇う人を減らす
②利益を減らす
③商品の値段を高くする
④もっと値段の高い商品を取り扱う
↓
経営者が一番手をつけやすい所が人件費
なので、サービス残業が増えたり、休みが取りにくくなったり、給料が減るなどの影響が出る
といったことになるからです。
この悪循環はすでに体感している人も多いと思いますし、このまま日本の制度や思考が変わらなければ、もっと酷くなることが予想されます。
高齢者が悪い訳じゃない
ここまでで、高齢化と人口減少がぼくたちの生活に与える大きな影響がなんとなくでも分かっていただけたかと思います。
注意点として、こういう話をするとどうしても「高齢者が多いのが悪い」とか「高齢者は国のお荷物だ」なんて言う人がいます。そういう意見は目先のことしか考えていない「恥ずかしい意見」なので、子どもたちには絶対にそうやって伝えて欲しくないです。
今の高齢者が若い時に一生懸命働いたから日本がこんなにも便利で豊かになりました。その「おかげ」を忘れてはいけないと思うんです。
高齢者の側からしても「自分で選んで好きでこの世代に生まれてきたわけじゃない」と思っていることでしょう。
今ぼくたちが個人レベルで考えなければいけないのは、「世界で一番”人口減少”と”高齢化”が進む国でどうやって生きていくか」です。
過去を見て「なぜ人口が減ってしまったのか」「なぜ高齢化してしまったのか」を考えることは重要ですが過去は変えられません。国民の数も一気には変えられません。
「日本の未来は大変ね」と人ごとのような立場ではいけないし、「高齢化が進むのがいけないのよ」という、変わらないことを変えようとする立場も違います。
変化していくことをしっかり理解した上で「どう変化していくか」が重要なのです。
効率の低い日本人の働き方
ここで少し話が変わりますが、日本の経済規模はどのくらいか知っていますか?
世界の国ごとに「経済規模(GDP)」をランキングすると、日本は世界第3位です。ちなみに1位はアメリカ、2位が中国です。
「日本すごいじゃん。お金あるじゃん」と思ってしまいますよね。
しかし、現実はそうではありません。
これは日本全体の生産量を合計すると世界第3位になりますが、国民1人当たりの生産性をみると、日本の順位は格段に落ち、世界第28位になります。
これはどういうことかと言うと、「日本人は一人ひとりの稼ぐ力は少ないけど、人口が多いから世界でトップクラスの経済規模を持つことができていた。」ということです。
AKB48と嵐で例えると分かりやすいかもしれません。
仮にですが、嵐全体の人気や能力、ダンス、歌、トーク力などの合計スコアを1,000だとすると、嵐5人のメンバーは1人ひとりが200前後の力を持っていて、バランスよく1,000という合計を出しているとします。
そして、AKB48の合計スコアが嵐と同じ1,000だとします。
合計だけを見れば嵐もAKB48も1,000ですが、その内訳は嵐とは違います。
AKB48の方は、100人以上いる(らしい)メンバーを合計して1,000です。AKBの人気メンバーの個人スコアは50だったり100だったりする人がいるかもしれませんが、とにかくメンバー数の多さで1,000というスコアを出して嵐と同じステージにいることになります。
ぼくが言いたいのは日本はAKBと同じような立場にあるということです。(AKBと嵐、どちらのグループが人気があるかという話がしたい訳ではありません。)
国全体の所得は世界3位なのに、国民1人当たりの生産性が世界28位まで落ちてしまうのは、「日本人は一人ひとりの生産性(稼ぐ力)が弱いから」という重大な理由があります。
しかも、日本では人口減少という名の「卒業・脱退」が超高速で進んでいます。一人ひとりの稼ぐ力が小さいのに全体数が減ってしまったらどうなるでしょうか?
このことから、『日本人の勝算』でも
今すぐにでも対応を始めないと、日本は近い将来、三流先進国に成り下がることは確実です。いや、下手をすると、日本は三流先進国どころか途上国に転落する危険すらあるのです。
と書かれています。
つまり、日本はこれから「国民一人当たりの生産性の向上」に舵を切らねばいけないのです。そうしないと日本は潰れます。
著書にはもっとたくさんのことが分かりやすく書いてあり、絶対に知っておいた方がいいことばかりの内容でした。
この先も日本で暮らそうと考えている人、いま、子育て中の人は、今まで以上に日本の未来について学んだ方がいいと思います。
さいごに
ここまで読んでみて、日本が直面している大問題についてどんなことを感じましたか?
この先も日本で生きていこうと考えている人は世代を問わず「人口減少・高齢化」の影響を受けて生きていかなければならなくなります。
むしろその影響はもう始まっています。
この記事↓にも書きましたが、2015年には日本人の4分に1人が高齢者になりました。2024年には日本人の3分の1が高齢者になります。
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【日本の未来は暗い??】子どもたちがこれから巻き込まれることを知っておこう。
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今、日本で起こっている高齢化と人口減少は世界中のどの国も直面していない未曾有の非常事態。前例がありません。そしてやっかいなことに、世界で上手くいった前例を真似することは得意な日本ですが、前例がないことに取り組むことは大の苦手です。
具体的にどんな行動をすればいいのか、今は分からないかもしれません。しかし、あなたはもう日本の未来に対しての危機感は持っていると思います。
はじめにも書いたように今の日本は人口減少と高齢化によって前提条件が変わりました。これから仕事の常識も生き方の常識もどんどん変わります。そんな大変革の時代に大人が過去のルールを引きずって凝り固まった頭を持っていては、幸せは遠のくばかりです。
日本の未来に危機感を覚えたら、次の段階は「自分に出来ることはなんだろう?」「日々の生活をどうしていきたいのか」と考えてみることです。
日本はもう「なんとかなるさ」という楽観論ではどうにもならない崖っぷちまで来ています。
この先も日本で生きていこうと考えているのであれば、これから訪れる日本の現実と自らの生活について、真剣に考え行動しなければいけないと思います。
「日本の未来」に関するオススメ書籍
『日本人の勝算』
『親子で学ぶ お金と経済の図鑑』
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』
最後まで読んでくださってありがとうございました。