時代は常に進化し、そのスピードはどんどん早くなっています。
今まで当たり前だったことが当たり前ではなくなったり、スマホのように10年前まで存在していなかったものが生活の必需品になったりしている現代。
そんな現代に生まれてこれから大人になっていく子どもたちに何を教えてあげればいいのか。
ぼくは保育士として、子どもたちには柔軟に時代に合わせた生き方をして、幸せな毎日を送って欲しいと思っています。
そこで今回は、ぼくが学び続けていることの中から『子どもの人生を幸せにするために必要な"新しい価値観"』を紹介したいと思います。
記事では"今までの価値観"と"新しい価値観"の比較をしているので、親であるあなたがどんな価値観を持っているかに気づくきっかけになるかもしれません。
今までの価値観
まず大前提として、今の大人(あなた)が持っている価値観と今の子どもたちが身につける価値観は大きく違ってくるということを意識した上で記事を読み進めて欲しいと思います。
今あなたが20歳以上であれば、あなたの子どもはあなたとは全く別の世界を見て育っていると思ってください。
それくらい、現代の価値観の変化というものは大きいのです。
それでは、さっそく"新しい価値観"をみていこうと思いますが、その前にまだ"価値観"という言葉にピンときていない方のために、"古い価値観"をいくつか見てみましょう。
古い価値観には、
- 我慢すること
- 常識を疑わない
- お金が大事
- 所有することが大事
などがあります。今まで必要とされてきたこれらの価値観は今はもう時代遅れ。子どもたちに教えない方が良いことへと変化しています。
我慢すること
今までは夢中になることより我慢することが良しとされてきました。我慢強い人が褒められる時代だったのです。
典型的な例が【仕事】です。
今までの教育は、毎日朝早くから夜遅くまで嫌な仕事・やりたくない仕事を我慢して我慢してやる人を育てるような教育をしてきました。
上司より会社に早く来て上司より遅くまで残っているような社員が「あいつはいつも頑張ってるな」と評価の対象にされてきたり、上司の指示に素直に従う人が昇進していく風潮がありました。
そんな風潮のせいで、今の管理職世代は部下に「我慢」を強いる傾向が強いわけです。
お金を稼ぐには「我慢」や「辛抱」が絶対条件だと思っている人が多いのです。
口癖が「仕事は面白いものじゃないぞ」とか「家族を食わすために仕方なくやってるんだ」なんて人は『我慢の対価として給料をもらっている』という価値観を持っている人です。
でも、それはもう古い価値観です。
常識を疑わない
常識っていったいなんですか??
考えたことありますか??
常識とは、言い換えれば、あなたが「普通◯◯だよね」って言うところの"◯◯"に当たる部分です。
「"当たり前"だと思っていること」だと言い換えてもいかもしれません。
あなたは自分の家に入る時は靴を脱ぎますか??
日本なら「はい」
アメリカなら「いいえ」
あなたは家に洗濯機がありますか??
現代の日本ならほとんどの人は「はい」
100年前の日本では「いいえ」
エスカレーターに乗る時、どちら側に乗りますか??
東京なら「ひだり側」
大阪なら「みぎ側」
これが常識です。
今までは常識を疑わないことが大事でした。
特に日本人にとっては身近な知り合いやテレビから流れてくる情報を参考にした「生活水準」や「マナー」を大切であって、そこから外れているとそれこそ仲間外れのように感じる感覚が強いです。。
常識は生活する上で大切ですが、常識は時代に合わせて変わっていくことを忘れると大変なことになります。
現代の日本において、移動手段に「馬」を使うことはまずないと思います。それが常識です。でも日本には移動手段に「馬」を使うことが常識だった時代もあるのです。
つい最近まで日本は高度経済成長期でどんどん成長していた時代の常識を引きずっていました。でも今はバブルがハジけて30年も経っているのです。
そういう意味でも、常識を疑う価値観が重要になっています。
お金が大事
日本人は世界一「貯金」が好きな民族というのをご存知ですか??
日本人は金融資産(貯金や株式)における「預金」の比率が世界で圧倒的に高いんです。
ユーロ圏 34%
アメリカ13%
日本 52%
海外では資産があれば「株式」や「投資信託」に回すことが多いそうです。
そして、先ほども書いた「我慢すること」が美徳(価値観)になっている人は「現金預金」に価値を置いている場合が多いです。
なぜなら、「蓄える」というのは我慢が必要だからです。「貯める」には「使わない」という我慢が必要になります。
「銀行やタンスの預金額=自分が我慢した量」
だから我慢を良きとしている人は、貯金がない人を見下したり、我慢せず楽しそうに暮らしている人を見るとイライラしたりします。
そこにある理屈はみな同じ。「私も我慢しているのだからあなたも我慢しなさいよ」です。
我慢の話になってしまいましたが、お金という物の本質を知ることで"お金をたくさん貯金していることが良い"という価値観は崩壊します。
お金は大事ですが、これからの時代は貯金ではなく、もっと別の視点が必要になってきます。
所有することが大事
数年前までの日本には、人生を過ごす上で、ある意味での"正解"がありました。「幸せとはこういうものだよ」と多くの人が共通して持っていたものです。
その"正解"は政府や大企業が提案していたわけですが、ざっくり言うとこんな感じになります。
「国民のみなさん!!幸せになりたいですよね!?
そんなみなさんのために、幸せになるためのレールを用意しました!!
このレールから外れないことで、あなたは幸せになれますよ!!
具体的にはですね、より偏差値の高い学校に入り、4年制大学くらいは卒業し、大きな会社に入るか公務員になりましょう!!
男性であれば終身雇用制度のもとで1つの会社に勤めながら20代中盤〜後半で結婚し、
女性であれば結婚や妊娠を機会に寿退社、そのあとは専業主婦をしながら子宝に恵まれて、
家族が増えたらマイカーを5年ローンで購入して、マイホームを35年ローンで手に入れる。
そして愛するわが子に流行りの早期教育を受けさせ、将来は安定した会社への就職を薦めながら、偏差値の高い学校への受験を提案しましょう!!」
すごい嫌味っぽい言い方をしましたが、少し前まで日本ではこれに近い考えが当たり前だったんですよね。
あなたも子どもの時に周りの大人から言われたことがあるのではないかと思います。
しかし、これ全部、"今の価値観"ではなくすでに"昔の価値観"なんですよね。
言い換えると「所有の価値観」になります。
学歴を所有し、車を所有し、家を所有し、家電を所有する。昔はそれが良い時代でした。
そうすれば企業は儲かるし、国も税金で潤いますから。
でも「所有」していることは負担なんです。
気軽に転職できないのも、気軽に引っ越しできないのも、所有しているものが多すぎるから。
もっと言えば家族や友達やSNS上の繋がりも、ある意味では「所有」です。
子どもを見ていて「子どもって人生楽そうだなぁ」なんて思ったことはありませんか??
それは子どもが「所有」しているものが少ないからです。
大人は「知識」「経験」「お金」「仕事」「地位」「プライド」「責任」、たくさんのモノやコトを所有しているから負担が大きくなっています。
しかも、それを「取られたくない!!」「自分のものだっ!!」って囲おうとするからさらに荷が重くなる。
そうではなく、これからの子どもたちには「共有」を教えていかなければいけません。
共有とはシェアです。だから、これから始まる時代のことを「シェアリングエコノミー(共有社会)」と言うのです。
さて、長くなってしまいましたが"今までの価値観"をいくつか紹介しました。
次に今回の記事の本題である"新しい価値観"をいくつか紹介したいと思います。
新しい価値観
新しい価値観には以下のようなものがあります。
- 夢中になること
- 常識を疑うこと
- 信用が大事
- 共有が大事
主に、先ほど紹介した"今までの価値観"の真反対の価値観ばかりだと思ってください。
今までの価値観と少しずれるくらいならみんな対応できるし、子どもへの教育もここまで敏感になることはないと思うのですが、なにせ真反対ですからね。
どんな親でも、これから不必要になる価値観を子どもに教える大人にはなりたくないと思います。
だからこそ、新しい価値観を知って、子育てのあり方を考えてみて欲しいのです。
夢中になること
今までは、「やりたくない仕事」を代わりにやってくれるロボットや技術の存在がなかったので、誰か人がやらなければいけませんでした。
その結果、『仕事=やりたくないこと・つまらないことを我慢しながらやること』という思いを持ちながら働く人が増えてしまったのです。
しかし、これからは人がやりたくない仕事はロボットか、それをやるのが好きな人がやるようになります。
そこで、これからの子どもたちにとって一番大事なことは「好きなことを見つけること」もしくは「得意なことを見つけること」になります。
もちろん最初は具体的ではなくても大丈夫。
子どもの時代には、「ぼく(わたし)はこういうことなら何時間でもやれる」ということを一つでも二つでも知っておくことが良いと思います。
そのためにはいろんなことに挑戦し、いろんな経験をすることが必要になりますね。
常識を疑うこと
常識とは誰かが作り上げたものを多くの人が信じている状態です。
たくさんの人が信じているからといって、それが正解とは限りません。
100人の人がいて、99人が「人を殺すのはいいことだ!!」と言ったらそのコミュニティでは「人を殺すこと」は「常識」になってしまいますが、それは不正解ですよね。
常識とは物事の1つの解釈であって、時代によって、場所によって、常識は非常識にもなります。
例えば、クリスマスと聞けば何をイメージしますか??、
「冬」や「雪」などを連想する人が多いと思いますが、それは日本での話です。
南半球のオーストラリアに住んでいる人は、クリスマスと聞けば、「夏」「サーフィン」「バーベキュー」を連想します。
現代は、過去の常識に縛られている人、当たり前の範囲が狭い人ほど息苦しくなる世の中へと変化している途中です。
何かを聞いた時に「普通〜でしょ」「そうするのが当たり前でしょ」と言ってしまう人は要注意。時代に合わない生き方・考え方を子どもに教えることになってしまいます。
新しい価値観は、「常識を疑うこと」です。
「今までこうだったけど、本当にこれでいいのかな??」
「みんなこう言ってるけど、なんでだろう??」
「多くの人がやってるけど、自分には合わないな」
そういう「問い」を常に持てる人が、これからの時代をうまく生きていけるのだと思います。
信用が大事
古い価値観として"お金が大事"というのがありました。
お金はもちろん大事です。現代においても最低限の生活するためには必要なものです。
これに関しては、ここでは書ききれないくらい大切な話なのですが、ものすごく簡単に言うと、こんな感じになります。
今までは働けばお金は入ってきたし、会社に勤めていれば給料は上がっていき、定年まで務めることができて、定年後は年金と退職金とある程度の生活ができました。
しかし、そんな豊かな状態はすでに終わっていて、ぼーっと生きていればそれなりの暮らしができる時代ではなくなっています。
そんな時代に必要なのが、"信用"です。
"お金"を貯める時代は終わり、今は"信用"を貯める時代なのです。
これ↑を読んで「信用を貯める??、よくわからない、、、」という方は、お笑い芸人キングコングの西野亮廣さんの『新世界』という本を読むと、"信用" を貯めることの大切さがよく分かりますよ♪♪
モノが不足していた時代は、モノが手に入れることが幸せや豊かさに直結していました。
しかし、今の日本はどこの飲食店に入ってどこのブランドでモノを買ってもクオリティ自体は大差がなくなっています。
そうなってくると、あなたがモノやサービスを選ぶ基準は「何を買うか」よりも「誰から買うか」になっていきます。
つまり、子どもたちは「あなたがいるからこの店に来た」「あなたからこの商品を買いたい」「君だからこの会社にいて欲しい」と思ってもらえる大人へと成長していく必要があります。
そんな時代に重要な価値観が"信用"なのです。
共有が大事
車、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、、、今までは一家に一台の新品が当たり前でした。つまり"所有"することが重要だった世界です。
でもこれからは共有の時代に入っています。車もシェア、家もシェア。
中古のモノは「セカンドハンド」や「リユース」などとオシャレな名前なついてネット上で見つけることができます。
メルカリなどでは使ってみたら合わなかった口紅なども売られています。あれもシェアの一部です。
今までは所有の時代だったのに、なぜシェア(共有)の時代がやってきたのでしょうか。
その答えは今あなたが見ているこの「インターネット」にあります。
インターネットが「所有」の世界をぶち壊しました。
たとえば、今までは"情報"を持っている人には価値がありました。なぜなら情報も所有ができたからです。
例えば、インターネットがなかった頃、A町に住んでいる人はA町の電気屋さんのテレビの値段が高いのか安いのか、比較する手段がありませんでした。
しかし、A町とB町を行き来するバスの運転手さんはB町の家電屋さんがA町の家電屋さんより3割も値段が安いことを知っていたとしたら、そのバスの運転手さんが持っている「情報」には価値がありますよね。
バスの運転手さんは他の人が知らない情報を"所有"していたわけです。
そうやって昔は得られる情報が制限されていました。
しかし、現代はどうですか??
価格.comや楽天市場にアクセスすれば、欲しい商品の最安値が1発で分かりますよね。
そうやって「情報」すらも「所有」するものから「共有」するものへと変わって来たのです。
今まではモノを所有することが「豊か」だと考えられてきましたが、日本人はモノを所有しすぎた結果、心が乏しくなってしまったとも言われています。
そういった経緯もあって、これからは、モノを所有しないことで心を豊かにする方向に向かっていくのだと思います。
子どもたちには、「所有」や「独占」ではなく、「共有(シェア)」や「分配」の価値観を持って欲しいと思います。
経験の選択肢を増やしてあげよう
ここまで読んでくださってありがとうございました。長くなって来たのでまとめに入ります。
ぼくは、子どもの頃(中3くらいまで)にはたくさんの「経験」をすることが大事だと思っています。
音楽でもゲームでも、子どもが興味を持って始めることは、なんでも子どものためになります。
「6歳の誕生日にタブレットを与えてみたらずっとゲームをやっている、この子はゲームが好きなんだ、将来はユーチューブでゲーム実況して稼ぐのかしら、、、」
それもアリだと思います。
でも、その時に注意したいのは、その子はゲームしか知らないからゲームやっているだけかもしれません。
もしくは勉強かゲームという2択しか知らないから、より面白いゲームをやっているだけかもしれません。
しかし、人生の選択肢って勉強とゲームだけじゃないですよね。だからぼくは選択肢だけはもう少し増やしてあげることが大事なんじゃないかと思います。
キャンプに連れて行ったり海に連れて行ったり、美術館や科学館、一緒に運動をやってみるのもいいかもしれません。国内旅行や海外旅行なども刺激になると思います。
そうやってたくさんの経験をしていく中で子どもたちは選択肢が増えて、より楽しいこと、より好きな物を知っていくことができます。
そして16歳以降、その中でもさらにやってみたいなと思うことにお金と時間をかけて挑戦していけば良いと思います。
最近は、早期教育に100万円かけるよりも、子どもが18歳くらいになってから「やってみたい」と言うものに100万円援助してあげた方が良いという考え方もあるそうですよ。
さいごに
ぼくが保育士として思うのは、子どもが小さい頃はお金をかけるより、安上がりでいいから一緒にいる時間をたくさん作ってあげたり、たくさんスキンシップを取ってあげたりする方が大切だということです。
子どもが18歳になってから「スキンシップ取ろ~」と言ったって、きっと取らしてくれませんから(笑)
そして選択肢を増やしてあげること。
さらに、もう一つ大切なことがあります。
それは没頭させてあげること。
大人になると、子どもに対して条件反射のように「いつまでも◯◯ばっかりやってないの」と口酸っぱく言う人がいます。
それはおそらくあなたが「今までの教育」を受けてきて「古い価値観」を持っているからです。今までの教育は、1つのことをいつまでもやっていてはダメでした。
(なぜなら今までの社会で求められていたのは、どんな仕事を振られてもそこそこできるようなオールB人材だったから)
だから、音楽ばっかりやっていると、運動もしなさいと言われたし、国語ばかりやっていたら英語とやりなさいと言われていました。
でも、何度も書いてきたように、それは古い価値観なのです。
子どもたちには新しい価値観を。それがぼくの願いです。
ここまで長いこと書いてきましたが、ぼくが伝えたいことは1つです。
「今、常識が大きく変化してぼくたちが当たり前だと思っていることが当たり前でなくなってきています。そしてその変化にどう対応するかの選択を迫られています。」
あなたは我が子にどうなって欲しいですか!?
これです。
さて、我が子の幸せを願うあなたは、
今までの価値観とこれからの価値観、
どちらを子どもに伝えたいですか??
おすすめ書籍
『子どものにいろんなことを経験させてあげよう』と高らかに書きましたが、同時に『お金が大事』という価値観はもう古いとも書きました。
「子どもにいろんなことを経験させてあげるにはお金が必要なのよ」って声が上がってくる気がしてなりません(笑)確かに一見すると矛盾していますもんね。
そんな時はこれ、本文中でも紹介したキングコング西野亮廣さんの『新世界』です。これを読んでもなお矛盾が消えない時は、コメントください♪♪
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