こんにちは、現役保育士の柴田和輝です。
数年前まで公務員として日本の保育園で働いていたぼくですが、
「海外の保育を知りたい!!」「海外ってどんな保育してるんだろう??」という思いから、
安定と言われていた公務員を辞めました。
そしてワーキングホリデービザを使ってオーストラリアへ留学し、
現地で英語を勉強してオーストラリアの保育士資格を取った上で、
約5ヶ月間、オーストラリアの保育園(チャイルドケア)で働きました。
その約5ヶ月間で現地の保育園で様々な経験をすることができたので、
その中で学んだこと、気がついたこと、日本の子育て•保育との違いなどを記事にまとめています。
この記事はこんな方におすすめ
- 保育園・幼稚園の先生
- 子育て中のママ・パパ
- 海外での仕事に興味がある方
※注※
記事中では、ぼくがオーストラリア(シドニー)で働いていた園の名前をP園と記載しています。
前回に引き続き、食事についてのことを書きたいと思います。
前回は「いただきます」と「ごちそうさま」について書きましたが、今回は「おかわり」や「好き嫌い」について書こうと思います。
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「いただきます」と「ごちそうさま」がない生活【オーストラリアの保育園で学んだこと】
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「食べ物を残しちゃいけません!」なんて言わないよ
はじめは食事の量やおかわりについてです。
日本の保育園や幼稚園の給食では、基本的には子どもたちにほぼ同じ量を配膳します。
食が細い子などには少し少なめに配膳することもあります。
それは、
- 用意された分を食べきることでその子が「全部食べることができた」という達成感、食への自信を育むことに繋がるということと
- 食べ物の恵みに感謝する日本では「ご飯を残す」ということをあまりよく思わない習慣があるということ
が理由に挙げられると思います。
だから配膳の時にも最初は残さないような量にして、もっと食べられそうならおかわりをすることが一般的なんだと思います。
ぼくが働いていたオーストラリアのP園では、そこが違いました。
給食はみんなだいたい同じ量が配られます。
しかもその「だいたい同じ量」がかなり多い(笑)
どの器も、「これは大盛りですね」って量なんです。
そして前回の記事でも書きましたが、子どもが席についていない状態で配膳するし、子どもの席が決まっているわけでもなくどこに誰が座るか分からないので、少食の子どもも、普通の量でいいような子どももほぼ大盛りの食事を目の前にして座ります。
そんな中で日本と大きく違うと思ったのは、
「食事を残す」ということに全然抵抗がなかったことです。
だから例えば、食の細い子が量の多さに食べきれなくて「Teacher,,,I can't eat anymore〜(先生〜、もう食べられな〜い)」と言っていても、先生が言うのはこれ
「はいはい、お腹いっぱいならもう捨ててきなさい」
また、おかわりをしたけど途中でお腹いっぱいになって「もういらない」と言っている子にも
「そうなの?じゃあ残りは捨てて食器を片付けてきなさい」という感じです。
ご飯粒1つですら残さないようにと教育する日本の文化で育ったぼくからしたら、なんの抵抗もなく食べ残しを残飯バケツに捨てていく子どもたちを見るたびに、気分はとても複雑でした。
「お腹がいっぱいだから」という理由の子もいれば、「早く遊びたいから」という理由で食事を途中でやめて残飯バケツに捨てる子どももいました。
そういった点も、「ここは(ぼくの常識とは)違う世界だ」と思いました。
「好き嫌い」にも寛容です
食べ物を残すことに抵抗がないということと関連しますが、食べ物の好き嫌いに対しても、日本とP園では子どもたちへの関わり方が違いました。
ぼくは日本の保育園で働いていた時、苦手な食べ物がある子には「少しだけでもいいから食べてみようか」と促すことが普通でした。
おやつで出てくるケーキやクッキーが嫌いという子ならぼくもあまり気にはしませんが、給食で出てくる料理、特に野菜や魚など体や脳の成長発達に良いにも関わらず苦手な子が多かったので、苦手が克服できるように声をかけたりしていました。
それが一般的な日本の保育園の姿かなと思います。
おやつの時
しかし、P園では違いました。
オーストラリアのP園では、子どもが「これ嫌い」「食べたくない」と言ったら先生は、「そうなんだ、じゃあ食べなくていいから他のものだけ食べなさい」とさらっと言います。
おやつの時は、(ドライフルーツとバナナブレッドとビスケットなど)種類が複数あるのでレーズンが嫌いな子はビスケットだけを食べるといったことができます。
ただ、レーズンを残しておきながらビスケットだけを何回もおかわりしている(好きなものだけを食べている)ので、その様子をみながら、日本だったら「好きなものおかわりするなら、苦手なものも少しは食べようね〜」って言われる場面だろうなぁと思いました。
給食の時
そしてぼくが衝撃だったのは給食の時です。
おやつの時とは比にならないくらいもっとすごかった。
P園の給食は毎日一品(ライスかパスタにソースがかかっているだけ)しかないので(まずそこにも驚きですが笑)例えば、子どもがこのソースはイヤだと言ったらライスだけ(もしくはパスタだけ)を子どもにあげます。
塩やふりかけなどがかかっているわけでもない、なんの味もついていないプレーンの状態で子どもたちは食べます。
「わぁ、この子たち白いご飯だけ食べてるよ」ってそこにも驚き。
日本ではそういう食べ方をすることもなかなかないので、それはそれで新鮮でした。
ただ、すごいのはそれではなく、子どもが「ライスもソースも嫌い!食べたくない!」といった時の対応です。
日本だったら「これしかないんだから、頑張って食べようね。」「好き嫌いしていると大きくなれないよ?」と声をかける場面かもしれません。
でもP園ではそういう子がいると、先生は「ジャムがいいの??チーズがいいの??」と子どもに聞きます。
ぼくは最初意味がわかりませんでした。「今日のランチはライスとソースなのに、ジャム??チーズ??」って。
でも理由はすぐにわかりました。
先生は園のキッチンからパンとジャムやチーズやを持ってきて、(ライスやパスタを嫌がる)その子のためにサンドイッチを作って食べさせるのです。
「いやはや、こんな献立の変更の仕方あるのか。」って思いながら、その光景に最初は衝撃でした。
もちろんそんな様子を見て「ぼくもサンドイッチがいい!」「わたしも!」という子が出てきます。そう言われれば先生はその子のためにもサンドイッチを作り、、、
そうなったら配膳されていたパスタやライスはそのままゴミ箱です。
これが自己主張のできる子ども??
この教育の仕方っていわゆる、「欧米の教育は子どもを意思を尊重する」っていうことの一部なんだと思いますが、日本の保育現場にいたぼくとしては違和感でしかなかった(笑)
この状況が疑問でしょうがなかったぼくは、担任の先生に聞いてみたことがあります。
「なぜわざわざサンドイッチを作るの??」って。
そしたらこういう答えが返ってきました。
1つは「子どもの意思の尊重」です。
そしてもう1つは、「親からお金(高い保育料)をもらっているので、なんでもいいからとにかく食べさせる必要がある」ということでした。
さらに、
親の払っている保育料には食事の金額も含まれているから、「機嫌が悪くて何も食べてません」とか、子どもが家で「今日は保育園で何も食べなかったよ」なんて言ったら大問題になる場合があるの。
だから給食として出てきたものを子どもが食べたくないと言ったら、わざわざ違うものを作ってでも与えるんだよ。
とのことでした。
国が違えば文化が違う。さまざまだなぁとしみじみ感じましたね。
子どもは何を学ぶだろうか
さてこの状況、、、
親の立場からしたら、おやつとランチを食べさせてもらってるから満足なのかな??
先生は、業務としての最低限の責任を果たしているから大丈夫なのかな??
子どもは、食べたくないものは食べなくてよくて、食べたいものだけたくさん食べれるから幸せなのかな??
どうだろう??
子どもがこの環境で育ったら、
「そうか、食べたくないものは食べなくていいのか。食べたいものだけ食べればいいのか。」
「そうか、やりたくないことはやらなくていいのか。やりたいことだけやればいいのか。」
なんて思うようになるんじゃないのかなぁ。
実際、(また後日に別の記事で書こうと思いますが)P園での「おもちゃの片付け」の時間は、みんなそれぞれがやりたいことをやっているので毎回地獄絵図でした。
最近の日本では「欧米のように子どもの個性を尊重して、自分の意見を主張できる子どもに育てた方がいい」と言われたりもしていますが、でも、ぼくはP園での食事風景を通してみた子どもの「自己主張の通し方」に疑問を感じたことは確かです。
自己主張ができることは大切だと思いますが、やはり「場面」や「内容」のことまでしっかり考えないと。
なにごともですが、大事なのはバランスだと思います。
そして、それを教えるのは大人です。
まずはその大人たちがしっかりとした軸を持ってバランスを取ることが大切なんだろうと、P園で働きながら感じました。
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