保育園では新規入園にあたって"慣らし保育"を設定している場合が多いです。
慣らし保育は、子どもが親から離れての生活が始まる最初の体験であることが多いです。
と同時に親にとっても不安が多い状況なんですよね。
そこで今回は、慣らし保育を上手に乗り越えるためのポイントを元保育士が紹介します。
慣らし保育というのは、親にとってはほんの数時間の出来事でも、時間感覚の薄い子どもにとっては永遠にも感じる長い時間なんですよね、、、
慣らし保育とは
慣らし保育とは、子どもが保育園に通い始める際、大きな環境の変化に戸惑ってしまわないように少しずつ慣れていくために用意されている期間です。
いわば、保育園の"お試し期間"です。
大人でも、新しい仕事に就いた時などは少しずつ業務を覚えていくと思います。
最初の2〜3日で全ての業務内容を覚えるのは負担ですからね。
子どもも同じです。まして、子どもはまだ0〜3歳です。
ついさっきまで、安心できる自宅で、ママをはじめ信頼できる家族に囲まれて生活していたのに、いきなり知らない所に連れていかれ、知らない大人がいる部屋に入れられた上、大好きなママはどこかに行ってしまうのですから。
「数時間すればママは戻ってくる」という概念をまだ持てない子どもにとっては、この世の終わりというくらいの不安を持ちます。
時々、ママやパパのの仕事等の都合で「慣らし保育は無しでお願いします」「初日から延長保育(11時間保育)でお願いします」と申し出があることもありますが、子どもの心にかかる負担は相当なものになります。
子どもが泣くのは信頼関係がある証拠
慣らし保育でよくある子どもの様子といえば、
初日は泣かずに過ごしていたのに、日が経つごとに泣くようになってきた。
です。
こうなってしまう理由は簡単です。
初日は訳が分からずなんとなく過ごしたけれど、2日目や3日目以降になると、しばらくママやパパがいなくなるということがなんとなく分かってきて、不安になるというものです。
慣らし保育中に見られる子どもの拒否反応は、
-
家を出るのを嫌がる
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保育園の玄関に来ると泣き出す
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保育室に入るとママにしがみついて離れない
などがあります。
こんな時、ママの気持ちとしては、
と複雑な気持ちが入り乱れます。
慣らし保育で子どもが泣くのは普通のこと
しかし、ここで重要なのは、『慣らし保育期間に子どもが登園を嫌がったり泣いたりするのはごくごく普通のこと』だということです。
なぜなら、先ほども書いたように、今までは自宅で家族の誰かがいつも一緒にいてくれました。
子どもからすれば「自分を守ってくれる人、安心できる人」と常に一緒だったわけです。
大人でも、例えばガイド付きのヨーロッパ旅行に出掛けたのに現地で突然ガイドさんがいなくなったら不安になりますよね。
子どもも同じです。絶大な信頼を寄せている人が突然目の前からいなくなってしまうのが慣らし保育ですから。それは不安になりますよね。
そして、知っておいて頂きたいのが、子どもが登園を嫌がってママにしがみつくというのは、ママとお子様の間に信頼関係がしっかりできているからこそ起きる、ということです。
専門用語で"安全の基地"と言います。
子どもは(恐怖や不安などの)危機を感じた時、信頼してる人のもとに助けを求めます。一般的にはその相手は一番身近な養育者であり、たいていは母親であることが多いのです。
そしてまだ言葉が上手く使えない子どもにとっては伝達の方法は"泣く"しかありません。
だからこそ、子どもが助けを求めて来た時には無理に突き放したりせず、子どもが安心できる関わり方をしてあげましょう。
具体的には次の2つのポイントを気をつければ大丈夫です。
慣らし保育を乗り越える2つのポイント
慣らし保育を乗り越えるためにぜひ実践して頂きたいポイントは次の2つです。朝忙しいママでもできる方法なのでオススメですよ。
わが子を信じる
いきなり精神論ですみません。
しかし、これは嘘でも冗談でもなく、親御さんの心持ちはとても重要です。
よく言われることですが、子どもはあなたの映し鏡のような存在です。
まるで心の中を覗いているかのように、あなたが不安を感じていれば子どもの不安を感じやすくなります。
ぼくの過去の経験でも、保護者の方が「ウチの子大丈夫かしら」と不安を抱えていると、その子は日中も泣き続けたり慣れるのに時間がかかったりすることが多くありました。
逆に、保護者が「ウチの子は大丈夫!」「今は泣いてるけどすぐ慣れるわよ!」と堂々としていると、子どもが慣れるのも早かったりします。
保育士あるある
保護者自信が保育士だったり、子どもを預けるのが2人目3人目だったりする保護者は、「大丈夫、大丈夫。」「先生、しばらく世話焼かせるけどよろしくお願いしますね。」と言って堂々としていることが多く、子どもも慣れるのが早かったりします。
というわけで慣らし保育を上手く乗り越えるポイントの1つ目は、「親が子どもを信じて堂々とする」です。
ポイント
どうしても不安な時は、その不安を無理に押さえ込まずに保育士に気持ちを話すのもオススメですよ!
スキンシップをとってから別れる
慣らし保育を上手く乗り越えるポイントの2つ目は、子どもと離れる時の関わり方です。
「子どもの不安が長引きやすくなってしまう良くない関わり方」というのが、2パターンあります。
よくない関わり方
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しがみついてくる子どもが心配でなかなか離れられず、最終的に保育士に引き離されて保育室を出るパターン
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登園を嫌がる子どもを少し強引に保育士に引き渡して「先生あとはよろしくお願いしま〜す!」と足早に去っていくパターン
この2つのパターンは子どもが不安を抱えやすいので、日中も泣き続けたり、保育園に慣れるのに時間がかかったりします。
そこでぼくがオススメする方法は、
- 5秒くらいギュッとハグをしながら「大丈夫だよ」と声をかけてあげる。
- 「あとでお迎えにくるからね」と子どもと目を合わせて伝える。
この2つです。ほんの10秒くらいあればできることですが、効果は絶大です。
もちろんこの方法を試しても、1日や2日で子どもが理解できるわけではないので、時間は少しかかると思います。しかし、確実に子どもは慣れるのが早くなります。
信頼している人からの"ハグ"や"約束が守られること"には、それくらい大きな力があるのです。
そしてなにより、子どもが、「ママは朝いなくなってもまた必ず迎えに来てくれる」と次第に理解できるようになるので、不安も大幅に軽減されます。
まとめ
今回は、慣らし保育を上手く乗り越えるための2つのポイントを紹介しました。
保育園や幼稚園に通うというのは、子どもにとっても親にとっても大きな環境の変化です。
最初に不安を感じるのは当たり前のことです。しかし、不安をずっと感じ続ける必要はありません。
慣らし保育が始まって1週間〜2週間くらいで子どもの生活のリズムも安定してくることが多いので、明るい見通しを持ちながら、焦り過ぎないようにしましょう。
今回の記事のポイント
- ママの不安は子どもの心に伝染する
- わが子を信じる
- 5秒くらいギュッとハグをしながら「大丈夫だよ」
- 子どもと目を合わせて「あとでお迎えにくるからね」と伝える
- 不安が消えなければ気持ちを抑え込まずに保育士に相談する
さいごになりますが、
どうして保育士が慣らし保育の時期に堂々としていられるかと言えば、どんな子どもも時間が経てば保育園の生活に慣れて、笑顔で過ごせるようになることを知っているからです。
慣らし保育に悩んでいるあなたもぜひ、数週間後に笑顔で保育園に通うわが子のことを想像しながら、登園を嫌がる子どもをハグや言葉で安心させてあげてください。