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【保育士が教える】子育てで使ってはいけない言葉と上手な言い換え方

かんかん

子育てをしながら「子どもへの言葉のかけ方」に悩んでいる方は意外と多いと思います。

「◯◯しなきゃだめでしょ!!」「早く◯◯しなさい!!」が口グセになってしまいがちですが、できれば子どもにマイナスな言葉はかけたくないはず。

子どもたちも、マイナスな言葉をかけられると「ぼくは理解されていない」「わたしのことなんてどうでもいいのね」と感じてしまい、ネガティブな思いを抱えたまま大人になってしまいそうです。

 

では、マイナス言葉をかけないためにはどうしたらいいのでしょうか??悩みますよね。

 

そこで今回は現役保育士のぼくが、子どもへの言葉がけで悩むママに向けて、
子どもにも親にも良い言葉の掛け方(※)をご紹介しようと思います。

※子どもにも親にも良い言葉の掛け方というのは、

  • 親は子どもにして欲しいことを伝えられる
  • 子どもは親に言われても嫌な気分にならず、自分から動こうと思える

この2点をカバーする上手い伝え方です。

 

子育てで使ってはいけない言葉

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まずは、「子育てで使ってはいけない言葉」を6つ紹介します。
「言葉」というよりも、「言い方」と表現した方がいいかもしれません。

僕自身も保育士に成り立ての頃はよく使ってしまっていました。
知らず知らずのうちに使ってしまっているママも多いと思います。

子どもにこんな言い方していませんか??

 

タイプ1:「あの子もやってるよ」比較系ママ

これは子どもに何かをして欲しい時に、比較対象を持ち出す言い方です。

「◯◯くんもやってたよ」
「◯◯ちゃんは△△するんだって」
「ほら、アンパンマンもこうやってる」

みたいな言い方です。

この言い方には「あの子はすごいわねぇ、それに比べてあなたは、、、」という思いが隠れている場合が多いので、子どもたちはそれを感じ取り、ママの思うように動いてくれないのです。

これは旦那さんから「◯◯さん家の奥さんはこうしてるみたいだよ」みたいな言い方されているのと同じですね。そう考えるとイヤですよね(笑)

 

タイプ2:「がんばって!!」ハイプレッシャーママ

「がんばって!!」という言葉は一見子どもを励ましている良い言葉のように思えますが、子どもたちにとって負担になっている場合があります。

というのも、子どもたちは基本的に頑張っているからです。

「あと一口食べなさい」
「これくらいやれるでしょ」
「もうちょっとがんばりなさい」

子どものことを「きっとできる」と信頼することはとても大事ですが、「あなたならできるでしょ」という期待が強くなり過ぎるとそれが子どもにとってのハイプレッシャー(過剰な期待)になり、自分のできる範囲でしか行動しない、消極的な性格になる可能性があります。

 

タイプ3:「だ-か-ら〜」イライラママ

「だから!!何回も言ってるでしょ!!」
「どうして覚えられないの!?」
「なんで分からないかなぁ」

何回も言っているのに子どもが分かってくれない。何度も聞きにくる。そんな時があります。

これは、「きちんとできるはず」「すぐ覚えてできるはず」という期待が強く出てしまっている状態なのですが、子どもが何度も聞いてくるというのは、一言でいえば、「子どもには伝わっていない」ということです。

「言ったこと」と「伝わったこと」は違うわけで、ママとしては「言った」=「伝えた」かもしれませんが、子どもにとっては「言われた」=「理解できた」ではないのです。

 

タイプ4:「早くしなさい」ママペースママ

これも思わず言ってしまいがちな言葉ではないでしょうか。

「早くご飯食べなさい」
「早く着替えなさい」
「早く準備しなさい」

この言葉が出てしまう時の特徴は、大人のタイムスケジュールで予定を進めようとしている場合が多いです。

「予定がある、次にこれをしなければいけない、その通りに進めたい」そんな思いからつい子どもに言ってしまいます。大人のペースに子どもを合わせようとするから、子どもにとっては負担になりますよね。

以前、自動車メーカーのトヨタで働いている友人が、「トヨタの工場では、工場内で数歩移動する時すら『そっちのルートよりこっちのルートを通った方が数秒短縮できるだろ』って言われたりするんだよ」と言っていました。

「早くしなさい」の究極ですよね(笑)ぼくだったら「マジか、そんなの言われてもできないよ」と凹むと思います(笑)

子どもも、「早くしなさい」と言われている時はそんな気分なんでしょうかね。

 

タイプ5:「◯◯できなくなるよ」プチ脅迫ママ

これも結構な頻度で使ってしまう言葉じゃないかと思います。

「◯◯できなくなるよ」を正確に言うと、「××しないなら◯◯できなくなるよ」です。

 

「片付けしないならおやつ無しだよ」
「ご飯食べないならおもちゃも出しません」

こういう言葉を使うと子どもは動いてくれるかもしれませんが、おそらく渋々やっていることがほとんどだと思います。

親という圧倒的権力のもとに出される脅迫みたいなものですから、子どもには選択の余地がないわけです。

この言い方では子どもの意欲は上がっていきません。何か新しいことをやろうと思っても「どうせ××しなかったら◯◯できないんでしょ」「じゃあどっちもやーらないっ」って無気力なめんどくさがりになってしまう可能性もあります。

 

タイプ6:「◯◯しちゃダメ」I♡禁止ママ

最後のタイプです。I♡禁止(アイラブ禁止)ママ。

「触っちゃダメ」
「走っちゃダメ」
「登ったちゃダメ」
「それやらないで」

生活の中で「ダメ」「いけません」といった禁止事項が極端に多いママタイプです。

あとでも書きますが、もちろん「ダメだよ」「いけません」を使わなければいけない場面はあります。ケガや事故を防ぐためには禁止が必要です。

しかし、「どの程度までは許して、どこからは禁止にするか」という基準がしっかりしていないとなんでもかんでも「ダメ」「しないで」「いけません」となってしまいます。

そんな状態では子どもは好奇心を満たすこともできず運動神経の発達も向上していきません。

 

 


さて、6つのタイプを書きましたが、思い当たる言い方はありましたでしょうか??

これはママだけではなく、保育士や学校の先生といった子どもと関わる人たちは思わず使ってしまう言葉でもあります。ぼくも保育士として子どもと関わりながら使わないようにと意識はしているものの、思わずこういう言い方をしてしまう時があります。

完璧になくすことは難しいので、減らすことを考えると良いと思います。さらに、次に紹介する「上手い言い換え」をして伝えるようにすれば、子どもの動きがガラッと変わりますので、ぜひ実践してみてください。

 

上手な言い換え方

geralt / Pixabay

最初にも書きましたが、子どもにも親にも良い言い方というのは、

  • 親は子どもにして欲しいことを伝えられる
  • 子どもは親に言われても嫌な気分にならず、自分から動こうと思える

そんな言い方です。

6つのママタイプごとにオススメの言い換え方を紹介します。

 

タイプ1:比較系ママの上手な言い換え方

「あの子はやっているのに、どうしてうちの子はやらないのだろう??」そう思いながら、「◯◯くんもやってるよ」「みんなやるんだから」と声をかけているママが多いと思います。

 

しかし、子どもは、

  • つまらないこと
  • 不安に感じること
  • わからないこと

はやりたがらない傾向にあります。

そこで、子どもがやりたがらない時には、「どうしてやりたがらないのか」を考えてみてください。きっと、「不安だから」「わからないから」「つまらない」からのどれかだと思います。

それが分かった上で、「じゃあママと一緒にやってみよっか」と誘ってみたり、もう少し簡単な所からやってみたいすると子どもたちの反応も変わるはずです。

ポイント

なぜやらないのかを考えて、「一緒にやってみよっか」と誘ってみる

 

タイプ2:ハイプレッシャーママの上手な言い換え方

ハイプレッシャーママの場合は、良かれと思って声をかけている場合がほとんどです。
この時の子どもには2パターンあって、
「頑張れと言われてやっと頑張れる子」と「もうすでに精一杯頑張っている子」がいます。

すでに頑張っている子からすると、「これ以上頑張れないよ」と思ってしまい、それが続くと、「周りの期待に応えられない自分てダメなんだ」と自己肯定感を失ってしまいます。

親としては、「もうちょっと」「これくらいはできて欲しい」という期待もあるので高望みしてしまう所ではありますが、まずは今できていることを認めてあげることを大事にしてみてください。

ポイント

「ここまでできたんだね、すごいね!」と言ってあげる

 

タイプ3:イライラママの上手な言い換え方

「だ-か-ら〜」と言わなければいけないのは、子どもに伝わっていないからでした。

ママの言葉が伝わらない原因で特に多いのが、

  • 使っている言葉が難しい
  • 早口

だと思います。

たとえばまだ小さい子どもであれば日本語を習得中です。英語でいえばリスニング力もボキャブラリーも極端に少ない状態です。大人でも、道端で外国人に分からないことばでめちゃくちゃ怒鳴られたら「何言ってるかよくわかんない」になると思います。子どももそれと同じ状態になっている可能性があります。

 

また、怒っている時というのは感情が優位になってしまい、だいたい早口で話してしまうので子どもには余計伝わらなくなってしまいます。

 

そして、1番良くないのは、子どもが「よくわかんないけど、なんか怒鳴られた」と思うことです。それが続くと、子どもたちは何をしたら怒られるのかというのが分かっていない状態ですので、やることなすこと全てに対して「なにかしたら、また怒られるかもしれない」と極端に親の顔色を伺って生活するようになったり、「怒られるのは嫌だから自分からは何もしないようにしよう」みたいに消極的な生活を送るようになるかもしれません。

ポイント

子どもに分かる言葉を選んでいるか、早口になっていないか振り返る

 

タイプ4:ママペースママの上手な言い換え方

子どもと生活していると、ついつい子どもを大人のペースに巻き込みがち。

よくあるのは睡眠時間です。子ども時代の睡眠時間は脳の発達に大きく影響するのに、小さな子どもを夜遅くまで連れ出したり、親の寝る時間に合わせたりしていることがよくあります。小さい頃の睡眠時間というのは子どもが大きくなってからでは絶対に取り返せないものなので、気をつけないといけません。

睡眠時間と同じように、他のことでも子どもを大人の生活リズムに合わせてしまうと、「早く◯◯しなさい」という言葉が口から出ることが多くなります。

しかし、そこはやっぱり子どもです。着替えや食事に時間がかかったり、面白いことや気になることに夢中になってしまうのはしょうがないと思います。

そこで、「早く早く」を少なくしていくためには、やはり余裕をもった時間配分が必要ですね。

 

ちなみに、保育園では集団生活の中で1日の計画や活動が詰まっています。だからどうしても、「早く」という言葉が出てしまいがちなんですが、ぼくはある時から「これって大人の都合だよなぁ」と思うようになり、遊びを早めに切り上げるなど5〜10分ほどの余裕を持って進めるようにしました。そうすると面白いくらいに「早く◯◯してね」と言うことが減りました。余裕をもった時間配分は今でも気をつけています。

ポイント

今の生活の中で、どうしたら子どものペースに合わせられるか考える

 

タイプ5:プチ脅迫ママの上手な言い換え方

脅迫というとちょっとイヤな言い方ですが、「親」と「子」という関係を考えると「××しないと◯◯できないよ」と言われた子どもは複雑な気持ちだと思います。

これには簡単な言い換え方がありまして、子どもに伝えるときに「××したら◯◯できるよ」と言うのがとても効果的です。

「お片づけしたらおやつ食べられるよ」
「ご飯食べ終わったらおもちゃで遊ぼうね」

これ、どこが違うかというと、最初のプチ脅迫ママの言い方は「否定形×否定形」でした。でも言い換えたあとは、「肯定形×肯定形」になっています。ささいな言い方の違いですが、言われる側の気持ちは全然違います。

ぼくは保育園でも、「お片づけしなさーい!!」と言うことはほぼなくて、「さぁみんな〜お片づけしておやつ食べよ〜」と言うだけです。

ポイント

肯定的に伝えて子どもが次のことをやりたいと思えば、子どもは自分から勝手にやる

 

タイプ6:I♡禁止ママの上手な言い換え方

いつのまにか子どもに対しての口グセが「だめよ」「やめなさい」になってしまっているママさんも多いと思います。そんな無自覚の「I♡禁止ママ」さんには、心配性という一面があるのではないかと思います。

 

そしてもう1つ、これは心理学的なお話なのですが、人は「欠けている所が気になる」というクセがあります。

たとえば、スーパーに行った時に、駐輪場にサドルがない自転車が置いてあったり、駐車場に運転席のドアがない車が停まっていたら絶対気になりますよね??

人は「短所」や「足りない部分」に目が行きがちだということなんです。たまたま入ったお店の店員さんがめちゃくちゃイケメンで爽やかな笑顔のお兄さんだったとしても、近づいて鼻毛が「ファッサー」って出てたら、「あっちゃー」って思いますよね。笑

「もうちょっと◯◯だったらなぁ〜」と反射的に思ってしまう。

なにが言いたいかというと、大人は子どもに対してもそう見てしまいがちなんです。

たとえば、子どもがママが大切にしていた物を壊してしまった時。これは欠けた部分で見れば「モノを壊した」「触って良いものとダメなものの区別がついていない」です。だから、「触らないで!!」と禁止言葉になってしまう。

でも、欠けてない部分を見れば、
「そこまで自分で移動できた」「モノをつかめた」など、赤ちゃんの時にはできなかったことばかり。

それにもしかしたら、子どもはその置物をママに渡したかったのかもしれないし、それを使って一緒にママと遊ぶとしたのかもしれない、そう考えると単純に「ダメ!!」とは言えなくなってしまいますよね。

そういう意味で、「子どもが何をしたいのか」をよく観察してみると良いかもしれません。子どもには「◯◯したい」という欲求があるはずですから、単純に「ダメ!!」 ではなく、「これならいいよ」と肯定的に言えるといいですね。

ポイント

「ダメ」という言葉をグッとこらえて、子どもの欲求を満たす方法を考えてあげる

 

 

「やりなさい!!」「ダメ!!」を使う時

ここまで子育ててに役立つ上手い言い方について書いてきましたが、場合によっては子どもを叱ることや注意することも大切です。その基準をしっかり持つ必要があると思います。

ぼくが子どもと叱る時は、大きく分けて

  • 大きな怪我や命の危険に繋がりそうな時
  • 人に迷惑をかける可能性がある時

の2点です。

 

大きな怪我や命の危険に繋がりそうな時

  • 道路に飛び出そうとする
  • ハサミや先のとがった物をむやみに振り回す
  • 自分の背丈の倍以上の所から跳ぼうとする

これらは「死」や「骨折などの大けが」に繋がる可能性が高くなるので強く叱ります。

 

人に迷惑をかける可能性がある時

人に迷惑をかける可能性がある時というのは基準が難しいのですが、

  • 電車内や病院など公共の場所で騒ぐ
  • 友だちにイジワルをする
  • 人の物を勝手に使う

などがパッと思いつきます。しかし迷惑というのは、感じる側の問題だったりするので難しいところです。

 

怒鳴るわけではない

ちなみにですが、叱るというのは「怒鳴る」とか「大きな声を出す」とか「キツい言い方をする」だけではありません。

ぼくは、子どもに「やりなさい」「やめなさい」「ダメです」を伝える時に、周りの人が振り向くような大きな声を出さなくても子どもに伝えることはできると思っています。道路に飛び出しそうな時などは大きな声も必要ですが、それも時と場合によってです。

いつでもどこでも大きな声を出し続けていると、子どもたちもその音量や言い方に慣れて話を聞いてくれなくなってしまうので注意が必要です。

 

さいごに

いかがでしたしょうか。

子どもには使ってはいけない言葉(言い方)、思わず使っていたという方は、今日からでも遅くありません!!今日知れたことをラッキーだと思って、まずは1つだけでもいいので覚えて使ってみてください♪♪

今回紹介した言い換え方は、子どものためにもなるし、ママのストレス軽減にもなります。どちらにもメリットがあるのなら使わない手はないですよね!!

 

ぼくも最初は頭の中での「変換」が難しかったのですが、慣れれば負担なくできるようになりました。

子どもにとって良い言葉を使ってあげたいというのは、子どもの幸せを願うママたちの共通の思いです。最初は少し大変かと思いますが、子どもの育ちのため、ママ自身のストレス軽減のためだと思って実践してみてくださいね♪♪

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