今回は言葉の話です。
ぼくたちは毎日言葉を使います。「話す・読む・聞く・書く」これらすべてで言葉を使っていますよね。
ところで、ぼくたちはなぜ言葉を使うのかって考えたことはありますか??言葉は当たり前の存在過ぎてあまり考えたことはないかもしれません。そこで今回は言葉について考えてみたいと思うのです。
ぼくはコトバに興味を持ったきっかけが2つあります。1つは保育士として小さな子どもと関わり始めたとき。子どもが言葉を覚えていくプロセスがとても新鮮だったことが1つの理由です。
もう1つのきっかけは、オーストラリア留学中に英語を猛勉強したこと。日本語以外の言語を真剣に勉強したら、言葉の不思議さと日本語の面白さを発見してしまったんです。
この2つきっかけがあって、ぼくは今もコトバを学んでいます。
ちなみにこのブログのタイトルも「アイコトバ」といいます。タイトルの由来は「はじめに」を読んで頂ければわかりますが、簡単に言うと、ぼくは言葉にはすごい力があると思っています。そして「アイ」というたった2文字に含まれるたくさんの意味がとても好きなんです。
はい、というわけで前置きはこのくらいにして「コトバの話」を進めます。
この記事を読み終わる頃には、あなたも日本語が今まで以上に好きになり、コトバのスゴさを子どもに伝えたくなることでしょう、、、
言葉とは??
『言葉ってなんですか??説明してください』
改めてそう聞かれたらあなたはパッと答えられますか??
ぼくたちが日常で言葉を使う時を思い返してみると、「お願いする」「説明する」「質問する」「気持ちを表現する」などの場面が多いと思います。
ちなみに辞書では、「言葉」とは
人の発する音声のまとまりで、その社会に認められた意味を持っているもの。感情や思想が、音声または文字によって表現されたもの。言語。
引用:三省堂 大辞林
とあります。さすが辞書、難しいですね(笑)
つまり、日本には日本語、アメリカには英語があるように、人が声に出して使うもので、特定の集団に意味が伝わるものを「言葉」というわけですね。
日本に暮らすぼくたちは、日本でしか通用しない言葉=日本語を使って生活しています。
また、言葉を紙に書くなどしてあとからでも読めるようにしたものは「文字」と呼びますね。言葉を目で見えるようにしたものが「文字」です。
なぜぼくたちは言葉を使うの??
では、なぜぼくたちは言葉を使うのでしょうか。
自然界に住む動物や虫などを含めた生き物の中で、「言葉」を使うのは人間だけです。超音波や匂いなどのコミュニケーション手段を持っている動物はたくさんいますが、「言語」と呼べるレベルの「言葉」を使うのは人間だけなんです。ある意味ですごく特殊な存在です。
日本人は集団からはみ出すことを嫌う気質があると言われますが、生き物全体でみると、他の生き物が「言葉」を持っていないのに人間だけ持っているのです。だいぶ生き物界の輪から外れていますよね。笑
でも、ぼくたちはそんな言葉を持ったからこそ他の動物が追いつけないくらい圧倒的に進化することができました。そんな視点を含めて、ぼくたちが言葉を使う理由をみてみましょう!!
コミュニケーションを取るため
1つはコミュニケーションを取るためです。
先ほど、
ぼくたちが日常で言葉を使う場面は「お願いする」「説明する」「質問する」「気持ちを表現する」などが多い
と書きましたが、これ全部、誰かとコミュニケーションをとるためですよね。「旦那にお願いする」「お客様に説明する」「子どもに質問する」みたいに。
「棚に気持ちを表現する」とか「机にお願いする」とかしないですよね??
言葉というのは、誰かしら人間の相手がいて、その相手に「何かを伝えたい」と思うからこそ必要になるコミュニケーションの道具なんです。
人間は自然界の動物たちに比べるととても弱い生き物なので、誰かと一緒にいて集団で生活しないと生きる事ができません。大昔からマンモス倒すのも集団でやっていたし、男性の留守を守る女性たちも集団で生活していました。
マンモスの時代に今のような言葉があったかどうかはわかりませんが、少しずつコミュニケーション能力を進化させてく中で「声」の使い方がうまくなって、いつしか「言葉」としてコミュニケーションが取れるようになってきたのだと思います。
動物や鳥たちも「鳴き声」という形で声を使っていますが、人間の言葉は圧倒的に種類が多い点で他の動物たちに差をつけています。
つまり、言葉があることで人間関係が円滑になるんですよね。
思考するため
もう1つは、「思考するため」です。思考するとは、その文字のごとく「思ったり、考えたりする」ことです。
たとえば、もしもこの世に日本語がなかったら、この瞬間からぼくたちは思うことも考えることもできません。
朝起きて「今日もいい天気だなぁ」とか「仕事イヤだなぁ」とか「お弁当つくらなきゃ」とか、思う事ができません。「来週までに◯◯しなきゃ」や「明日は洗濯しよう」という考えも、言葉があるからこそできるのです。
すごく想像のしにくい不思議な感覚だと思いますが、言葉がないということはそういうことになります。
だから言葉を持たない虫や動物は「思考力」がありません。
「あの上司マジでウザいよね」とか愚痴ってるアリさんはいないはずで、
「現在◯◯団地付近を飛行中」とか連絡取り合ってるハトとかもいないはずなんです。
それは言葉を持っていないことが理由です。言葉がないから頭のなかで思うことも考えることができません。できるのは感じることだけ。
動物は「感じて動く」、だから本能的です。
人間は「感じて、思考して、動く」、だから理性的です。
「こうすればもっと良くなる」「これとこれを組み合わせてみたらいいんじゃないか」
こういう考える力は言葉を持っているからこそできるんですよね。
りんごが木から落ちるのを見て、「万有引力だ!!」というのが人間、手にとって食べるのがゴリラです。
人間は言葉を手に入れたことによって「思考」できるようになりました。思考するために言葉を使っている。これがぼくたち人間が言葉を使う理由の2つ目です。
ぼくたちが言葉を使う理由はこの2つ。
ポイント
- コミュニケーションを取るため
- 思考するため
ココロは言葉で作られる
言葉の役割とともにもう1つ大事なことがあります。それは言葉はぼくたちのココロを作っているという事実です。
どういうことかというと、さきほど言葉は「コミュニケーションを取るため」「思考するため」に使っていると書きましたが、使うことでどんな効果があるのかの話です。
ぼくたちのカラダは食べ物や睡眠、運動で作られますよね。それと同じでココロは言葉によって作られるんです。普段、どんなことを考え、どんな気持ちでいるのか、それによってココロは変わります。
いつも愚痴や不満ばかり言っている人は、ネガティブな言葉ばかり使うので心がネガティブになっていきます。いつも感謝や喜びを表現している人は、ポジティブな言葉ばかりを使うので心がポジティブになっていきます。
聞くことも同じです。愚痴ばかりを言い合う集まりや暗いニュースばかり聴いているととココロはどんどん暗くなります。
普段使う言葉があなたのココロを作ります。
それを思うと、言葉の使い方にも気を付けなければと思うことができます。
言葉は毒にも薬にもなる
ぼくたちのココロを作り上げる言葉。そんな言葉の使い方はどのように気をつけたらいいのでしょうか。
ぼくたちが生きていく上で必要不可欠な存在である言葉には2種類の使い方があります。以前、この記事でも書いた内容に近いのですが、
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どんな言葉を使うかで毎日が変わる
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言葉は道具なんです。どんな道具にも必ず役割があります。
ハサミには「切る」
イスには「座る」
車には「移動する」みたいな役割が。
じゃあ言葉の役割は??
「コミュニケーションをとる」
「思考する」
ですね。
ここまでは分かると思います。しかし意外と見落としがちなことがあります。それは「道具には2つの使い方がある」ということです。
1つは、人の役に立つ使い方。
もう1つは、人を傷つける使い方。
ハサミもイスも車も、人をケガさせたり、命を奪ったりすることができてしまいますよね、使い方を間違えれば。
言葉も道具だということは、同じなんです。言葉は血がでるようなケガはさせませんが、ココロを傷つけることができてしまいます。
悲しいことや辛いことがあって、「私、傷ついた」と言ったり思ったりすることがありますよね??それ、言葉の使い方を間違えたんです。本来は人の役に立つための道具だったのに、人を傷つけることに使ってしまった。本来の使い方をすれば、人を勇気づけたり、励ましたり、喜ばせたり、助けたり、そういったことができるはず。
子育てしながら子どもに掛ける言葉も同じです。
というわけで言葉を使う時に気をつけなければいけないことは、「人の役に立つ使い方か??人を傷つける使い方か??を考える」ことになります。
日本語の素晴らしさ
さいごに、世界中に約7000種類くらいある言語の中で、ぼくが1番好きな言語の話をさせてください。
その言語とは、日本語です。ぼくたちが毎日当たり前のように使っている日本語。実は世界でも相当珍しい言語だということを知っていますか??
母音で終わる言語
言語は世界中に約7000種類くらいあるそうです。相当多いですよね。そんな約7000種類の言語の中で、たった2種類の言語だけが持っている、他の言語にはない特徴があります。
その特徴というのは専門的な言葉で言うと「母音優勢言語」というそうです。母音優勢言語というのは、簡単に言うと言葉に必ず母音がくっつく言語のことです。
そして2種類の言語というのが日本語とポリネシア語。
日本語って、五十音の「ひらがな」から成り立っていますが、どんな音でもかならず「a i u e o」がはいりますよね。
「(あ)かさたな はまやらわ」は子音「k s t n h m y r w」に母音「a」がくっついた音です。
「(い)きしちに ひみ(い)り(い)」は子音「k s t n h m y r w」に母音「i」がくっついた音です。
どんな音でもかならず「母音」で終わるというのは日本語を話すぼくたちには当たり前のことですが、実は世界中の言語と比べるとこれはとても珍しいらしいのです。
たとえば、英語には母音以外で終わる単語がたくさんあります。
「Dog」「Cat」「Book」「Happy」
このように、子音で終わる言語を「子音優勢言語」というそうです。そして世界中の言語は日本語とポリネシア語を除いてみな「子音優勢言語」なんだそうです。
これで何が言いたいかというと、日本語にはどんな言葉にも必ず「母(母音)」が存在している。これがとっても重要なんです。
子音のことを「父音(ふいん)」と呼ぶこともあるそうなのですが、とすれば日本語は必ず父音(「k s t n h m y r w」)と母(a i u e o)がくっついて1つの音になります。つまりお父さんとお母さんが一緒になることによって、ひらがなという子どもが生まれることになります。
母親とは種族の繁栄には欠かせないとても重要な存在です。家庭や社会に安心感をもたらす存在でもあります。
英語は子音優勢言語だから、「母親(母音)」がいない単語がたくさんあります。そんな母親がいないのですから、子音優勢言語は争いなどが起こりやすく不安定になりやすい。日本語はどんな言葉にも「母親(母音)」がいるから昔から争いが少ないし、常に安心していられるという見方もできるんです。
ぼくはオーストラリアで英語を勉強していた時にこの話を知りました。英語(子音優勢言語)が悪いという意味ではありませんが、ぼくは日本語ってすごいんだなと思いました。
五十音に込められた思い
もう1つ、「日本語ってステキな言語だな」と思った話があります。これも日本語と英語の違いで考えると分かりやすいのですが、日本語は1文字でも言葉として成り立つ言語です。
ひらがな1つひとつにたくさん意味があります。たとえば、
「か」
→「火」「蚊」「華」「夏」「下」「可」「科」
これ全部「か」という1文字ですが、1音だけでも意味がわかりますよね。
英語ではこうはいきません。アルファベット1文字だけ「T」や「N」と言われても、それだけでは成り立たちません。
日本語は五十音の1音1音全てに意味があります。これは大昔から変わっていない日本の素晴らしさを表しています。
三重県の伊勢にある伊勢神宮をご存知ですか??
伊勢神宮は日本の最高神「アマテラス」さまをたてまつっている場所です。その伊勢神宮には別名があります。
それは「五十鈴宮(いすずのみや)」です。伊勢神宮内に流れる川は「五十鈴(いすず)川」という名前です。この「五十鈴(いすず)」とはなんなのか??
それが「ひらがな」なんじゃないのかという説があるんです。先ほど日本語は1文字でも意味があると言いました、つまり1音だけでも鈴のように音色を響かせることができます。
それが「五十音」集まって日本語というぼくたちの言葉を作っているわけです。
つまり、昔の人は「私たちは五十の鈴(つまり五十音)を大切にしている」という意味で、日本の最高神をたてまつっている場所に「五十鈴宮」という呼び名を付けたんだそう。
そんな風に考えてみると、五十音表から昔の日本人が日本語にたくしたステキな精神性も見えてきます。
日本の最高神「アマテラス」も登場する書物「古事記」には、日本列島で1番最初に生まれた島は「あわじ」という名前だったと書かれています。現在の「淡路島」だという説が有力です。
そんな「あわじ」島、見方によっては
「あ」から「わ」へ至る「路」と解釈できたり、
「あ わ 字」とも解釈できますよね。
これつまり、五十音のことなんじゃないでしょうか??
五十音は
「あいうえお 〜 わをん」まで続きます。
あ行から始まり、わ行で終わる、だから「あわじ」。「古事記」は物語ですから読む人に事実を理解しやすく書かれているはずです。ということは、「日本で最初にできたのは日本語だよ」なんてことを教えてくれているのかもしれせん。
もし本当にそうなのだとしたら、日本人の精神性って本当に素晴らしいと思います。
だって、
五十音は「あいうえお 〜 わをん」です。
「あい」から始まって「を(お)ん」で終わっています。
「愛」で始まって「恩」で終わるんです。
子どもの頃は周りからたくさんの「愛」を受け、大人になってから「恩」を返す。
心理学でも、まず興味関心という「愛情」をもって出会い、そしてお世話になったことを感謝をしながら自分にできることで「恩」を返していくと人間関係は上手くいくと言われたりします。
そんな「愛」と「恩」が五十音の最初と最後に入っているわけです。日本語ってまるで物語のようなステキな言語ですよね。
まとめ
というわけで、今回のまとめです。
ポイント
- 言葉を使う理由は「コミュニケーションを取るため」「思考するため」
- ココロは言葉によって作られる
- 言葉は道具
- 道具の使い方には「人の役に立つ使い方」と「人を傷つける使い方」の2種類ある
- 日本語は必ず母親が一緒にいる母音優勢言語
- 五十音は「愛」で始まり「恩」で終わる「あわじ」
記事のタイトルにもしましたが、日本語は世界にある言語の中で「あい(愛)」が1番に来るステキな言語なんですよね。
子どもの頃から身近にあっていつも間にか話せるようになっていた日本語ですが、改めて考えてみると素晴らしい言語だったんですね。